バス内では、スタッフから今回のツアーについての説明があったあと、イベントに同行する世界のトップシェフ、オリヴィエ・ローランジェ氏、カイル・コノートン氏、アルノー・ファイ氏、ヴィッキー・ラウ氏、キム・ビョン・ジン氏、ペドロ・バルジェロ氏が紹介されました。
そして一行はまず阪南市へ。大阪のブランド牛である『なにわ黒牛』を飼育する現場へ足を運びます。靴を消毒してから、牛舎の近くまで。スタッフがなにわ黒牛の飼育の方法や環境、牛への思いなどについて説明します。こちらで作られている堆肥が紹介されると、トップシェフたちも興味津々。参加者と共に飼料について質問するなど、飼育現場の生の声に耳を傾けていました。
続いては同じく阪南市の『浪花酒造』へ。スタッフとともに水野謙二阪南市長も一行を出迎えます。水野市長は阪南市へ訪れてくれたことに感謝を述べ、阪南の豊かな自然、文化、歴史を将来につないでいきたい、SDGsの考えに乗せながら街に引き継いでいきたいと話しました。
続いて、浪花酒造の成子和弘社長、そして先程見学した『なにわ黒牛』を育てている松田武昭社長の挨拶です。
成子社長は酒蔵、本宅ともに国の重要文化財に指定されていることを説明。松田社長はコスト競争ではなく、こだわりの牛を作っていることを力説し、牧場の様子が映されたVTRを見たあとは、飼育期間や等級についてなど、参加者からの様々な質問に答えていました。
続いて、建物内の茶室などを見たあとは酒蔵見学です。成子社長の案内で酒蔵の中へ入ると、スタッフが酒造りの行程のひとつ“米洗い”の様子を見せてくれます。さらに“酒搾機”や、一年を通じて水温が15度に保たれているという井戸についても説明があると、シェフたちも興味深く聞き入っていました。
酒蔵見学に続いては鏡開きも実施。参加者、スタッフによる「よいしょ、よいしょ、よいしょ〜!」の掛け声で菰樽が割られたあと、オリヴィエ氏による「カンパーイ!」の声で全員が乾杯。
美味しい日本酒に舌鼓を打ったあとは、記念撮影も行いました。
次は泉州の伝統野菜の産地として、貝塚市で春菊を主に栽培している農家を訪ねました。ビニールハウスで作られている春菊を見たあと、用意していただいた春菊のサラダを全員で試食。
参加者は口々に「おいしい!」と声を上げていました。そのあとは春菊の生産方法について、場所、品種による収穫方法の違いなどについても説明があったほか、参加者からは購入した春菊の保存方法などの質問も上がっていました。
ここでお待ちかねの昼食の時間。堺へ移動し、千利休と与謝野晶子の博物館がある『さかい利昌の杜』で、アナゴ寿司弁当をいただきます。
このお弁当は堺市の人気店『深清鮓』が作ったもの。参加者たちは絶品のアナゴ寿司をしっかりと堪能。食事のあとは、館内を自由に見学する時間も取られました。
昼食後は堺のスポットを巡ります。1つめは堺市の『鋏鍛冶 佐助』へ。まずは工房についての説明があり、実際に鋏と包丁を作るところを見学しました。職人がふいごで風を送ると、うす暗い工房にオレンジの火が飛び、鎚を打ち付ければ金属音が響きます。その光景にはシェフたちの目も釘付け。食い入るようにその技を見つめていました。
鋏や包丁の試し切りも行われましたが、シャープな切れ味にシェフたちはまたビックリ。刃先をじっと見つめるなど、職人の技工に驚いた様子でした。工房には、以前こちらで修行した後、現在は市の職員として活躍しているというフランス出身の方の姿も。フランス語や英語などが飛び交う工房見学となりました。
ラストは堺市の昆布処『郷田商店』へ。おぼろ昆布などを作る工程の見学と、採れる場所による昆布の種類の違いや現在の漁獲量などについてのレクチャーがありました。
おぼろ昆布作りは、スタッフたちが実際に作業を行っているところを見学。参加者たちは削りたての昆布の試食も行いました。
オリヴィエ氏は海藻にとても興味があるとのことで、真剣な眼差しでペンを走らせます。昆布についてのレクチャーでも質問を投げかけ、自分が書いたメモを北海道の地図や昆布の上に置いて写真を撮るなど、とにかく熱心。「いろいろなことを学べた」と笑顔を浮かべていました。これでイベントは終了。大阪の多様な食文化、ものづくりの文化について、参加者はたくさんの知識を得ることができました。
「食の都・大阪」魅力再発見イベントのレポートは下記からもご覧頂けます。
●「食の都・大阪」魅力再発見イベントを2日連続で実施!
●2日間にわたって行われた「食の都・大阪」魅力再発見イベントが閉幕!