9月8日(日)、大阪府八尾市にある顕証寺 無碍庵(東長屋)にて「顕証寺仲秋の奏~久宝寺寺内町で箏曲と燈路を楽しもう~」が開催されました。このイベントは、大阪府、大阪文化芸術事業実行委員会による、『大阪文化資源魅力向上事業』の一環として実施。2025年に開催される大阪・関西万博に向け、府内各地の文化資源魅力向上とともに、地域の魅力を広く発信することを目的として開催されるものです。
八尾市北西部に位置する久宝寺寺内町は、室町時代後期に寺内町として整備された450年以上の歴史を持つ町です。今回は、大阪府指定有形文化財である顕証寺無碍庵を舞台に、顕証寺や寺内町の歴史と文化についてのトークショーや箏曲演奏が行われ、同日開催された「第15回久宝寺寺内町燈路まつり」とともに、多くの方が楽しみました。
顕証寺無碍庵(東長屋)には、開場時間前から多くの人が詰めかけ、立ち見も出る盛況ぶりです。
まず、MCとして武将様(ミサイルマン・岩部彰)が登場し、顕証寺近松真定住職とのトークショーが行われました。
住職は自身が20代目であることを話し、明応年間に本願寺第8代蓮如上人が西証寺として建立したのち、顕証寺と改められたことなどを説明。お寺のある寺内町の成り立ちについても語り、また元々ひとつだった本願寺が織田信長に攻められたことをきっかけに西本願寺、東本願寺に分かれた理由などについても来場者へ伝えました。最後に、住職は、会場である長屋、本堂、本堂に続く渡り廊下が府の指定文化財になったことについて言及。そして、本堂の国の重要文化財指定に向けて推進していることも語りました。
次に、土井博子(箏)、橋本岳人山(尺八)、水越美也(箏)、近松真定(龍笛)、橘将海(篳篥)、近松有希子(鳳笙)による箏曲の演奏が行われました。
武将様が各自のプロフィールを紹介したあと、早速1曲目「平調越天楽」の演奏が始まると、詰めかけた人たちもじっくりと耳を傾けます。箏、龍笛、篳篥、鳳笙が奏でる音が幾重にも重なり、響き合うと、会場は荘厳な雰囲気に包まれました。続いて、単独で篳篥の音色を聞かせてくれるシーンもあり、吹くのに肺活量がいること、吹き方でいくつもの音が出るため、頭の中で考えてから音を出すのが大切といったことなども伝えられました。続いては箏と尺八による「吉澤検校 作曲「秋の曲」(抜粋)」です。主旋律を奏でる本手と、それに変化をもたせる替手、二面の箏と尺八が紡ぎ出すメロディーが心地よく会場に響きます。続いての「日本のメロディー「里の秋、ふるさと、紅葉」」は、同じく箏と尺八の演奏ですが、今度は二面の箏が高音と低音に分かれての演奏が行われました。「尺八独奏 橋本岳人山 作曲「過ぎゆく夏」」で、軽やかな尺八の音色が響き渡ると、会場内は暑さを一時忘れさせてくれる、涼やかな風が吹き抜けたような空気に。最後の曲「宮城道雄 作曲、小林愛雄作詞「秋の調」」は箏、尺八が奏でる歌曲。近くやってくる秋を思わせる演奏に会場も聞き入っていました。曲が終わると、アンコールの声が。「宮城道雄作曲、北原白秋作詩「せきれい」」が演奏され、イベントは終了しました。
同日に開催された「第15回久宝寺寺内町燈路まつり」のオープニングセレモニーには、ミャクミャクも登場し、万博をPRしました。
また、8月23日に女と男 ワダちゃんを迎えて開催した「女と男 ワダちゃんとつくる、燈籠づくりワークショップ」で、万博をテーマに子どもたちが作成した手作りアート燈籠が、「第15回久宝寺寺内町燈路まつり」で展示されました。ワダちゃんと子どもたちが協力して完成させた大きな燈籠も目を引きました。