レポート

石切ヴィレッジでアートとJAZZを楽しむ 「ファクトリーアートフェスタin東大阪」開催

開催日程:

2024年3月3日(日)

会場:

石切ヴィレッジ(藤井家住宅)

3月3日(日)、東大阪市の石切ヴィレッジ(藤井家住宅)で「ファクトリーアートフェスタin東大阪~石切ヴィレッジでアートとJAZZを楽しもう~」が開催。アート作品の展示やワークショップ、ジャズライブなどが行われ、多くの人で賑わいました。

このイベントは、大阪・関西万博に向け、府内各地の日本遺産や文化財などを舞台とした文化芸術プログラムを実施、文化資源のさらなる魅力向上や地域の魅力発信に取り組む、大阪文化資源魅力向上事業の一環として行われるもの。町工場でつくられたアート作品を東大阪の新たな魅力として発信するという思いのもと、「ファクトリーアート」作品の展示やアーティストによるワークショップなどを実施。さらに、JAZZライブや地元石切の魅力を語るトーク&ウォークなど盛りだくさんの内容で行われました。

会場となる石切ヴィレッジは、藤井家住宅(国登録有形文化財)は500坪の敷地の中に茅葺の母屋をはじめ、江戸時代中期から大正時代に建てられた7件の登録有形文化財があります。築260年の母屋は、とんがった大和棟、田の字4間に通り土のおくどさん(かまど)が配された、斜面地に展開した集落の上層農家の好例です。
また、築90年の離れ座敷は造作等に数寄屋意匠を加味し、座敷西面には繊部窓を穿つ床と床脇を備えた、瀟酒なまいの離れ建築です。

この古民家に東大阪で生まれた「ファクトリーアート」が並びます。今回は共和鋼業株式会社×蘭鳳(書道家)、マツダ紙工業株式会社×原田とおる(現代アーティスト)の作品を展示。アーティストの手により、普段は身近にあるダンボールや金網に新しい命が吹き込まれ、世界でひとつだけの作品となっていました。「工場×アートトークセッション」には、そのファクトリーアート作品を手がけた蘭鳳氏、共和鋼業株式会社 代表取締役 森永耕治氏、マツダ紙工業株式会社 代表取締役社長 松田和人氏、そして株式会社IDEABLE WORKS 代表取締役 寺本大修氏、モンスターエンジン・西森が参加。ファクトリアートについて、東大阪を盛り上げるための戦略など、幅広いテーマでトークが行われました。

展示している「ファクトリーアート」について寺本氏は、工場とアートを掛け算して新しい創造をしていこうという取り組みで、初めての展示であることを説明すると、展示されている作品については会社とアーティストのペアだけを作って企画を始めたことを明かし、「何ができるか不安だった」と笑顔で当時の心情を吐露。そして「今後も続けていければ」と話しました。

森永氏は何人かのアーティストと面談した結果、一番熱意を感じた蘭鳳氏とのコラボを決めたとのこと。「金網も書も奥行きがあり、そこに親和性がある、とやってみたら想像以上のものができあがった」とコラボ作品に手応え十分の様子。蘭鳳氏も、「書は紙に書くのが当たり前、今回は当たり前じゃない何かに挑戦できるかもという期待があった」と話し、「その未知の感じをおもしろがってくださった」と振り返ります。そして作品について「思ったより上手にできました」と話すと、会場は盛り上がります。

松田氏は今回の企画について「東大阪をおもしろくしたい」ときっぱり。そして作品については、「ダンボールを差し込むという手法、それをアートにするのがおもしろいと思って選ばせてもらった」と明かし、「非常におもしろい作品ができた、今後はキットにもしていけたら」と新たな展開についても言及。作品は小さなものを4つほど作ったなかで、社員の投票が一番多かったものを選んだという裏話も明かしてくれました。

西森は「10年前から1人でずっとモノづくりは楽しいですってやってきた」と話し、今回のイベントについても「いいと思います」と、地元東大阪に生まれた新しい盛り上がりを歓迎します。展示されている作品についても「作るの大変やったでしょ」、「設計図はどうやって?」と興味津々でした。その西森の作品はパネルで紹介。「1本だけ入る爪楊枝入れ」、「柿の種ケース」などの個性的な作品が紹介されるたびに、会場からは笑いが起こりました。

そこからもモノづくりの街、東大阪について、若い人たちの育成について、などのトークが続きます。寺本氏は、「町工場は誰かに企画をなかなか頼めない、新しいパートナーに出会うのが難しい」と感じたと話し、「そこから意外な可能性に着目するとき、アートってよくわからないもの、でもきっと楽しいものなので、その先にモノづくりが連携していくことで、東大阪が新しい面白いモノづくりが始まる街になれば」と期待を込めました。

最後に森永氏が「誰よりも菱形金網を愛する男」と自己紹介すると拍手が。そして、「誰よりも何かを愛するって胸を張っていうのは結構難しい、でものめり込んでやっていくことで人が集まってくれたりもする、だから続けていきたい」と話しました。蘭鳳氏は、「工場で働く人のイメージとして、定年ギリギリなおじさんたちの印象だったのが、カッコよくてキリッとしてる人が多かった」と明かすと、「書道やアートでそれをたくさんの人に見てもらうきっかけに関わらせていただけたことが光栄、ありがとうございます」と感謝のコメント。松田氏は、「ダンボールに見えない、鉄やプラスチックに強度で負けないというコンセプトで商品開発をしている」と話すと、「よそにできないものを作って東大阪を活気づけたい」と力説。そして「この取り組みが広がっていけばいい、いろんな町工場にアート作品があればひとつの観光になる、がんばっていきたい」と話しました。西森は自身が世界最小のパターメーカーであることを話すと、父親とのパター作りのエピソードを披露。元々西森からの働きかけだったものが、父親が自発的に新作のアイデアを出し、制作するようになったそうで、「結局それは楽しいから、そういうところがわかれば若い人も入ってくる」と期待を込めました。さらに自身が現在出願中という特許についてもちらりとアナウンス。「もしこれで儲かれば、お金目当てで入ってくる若い人がいるかもしれない」と、別角度からの東大阪の盛り上げについても言及しました。

寺本氏は、「東大阪は文化や芸術の匂いに馴染みがないと思う」と話すと、「これから東大阪の新しい文化資源として、モノづくりのなかにアートという側面が生まれることで、ファクトリーツアーでも工場を回るだけでなく、いっしょにアートを楽しめるということもできるのでは」と新たな展開について言及。そして、「東大阪には工場アートがあるよねと言われるような街づくりに挑戦していきたい」と締めくくりました。

会場の外では、今日の「ファクトリーアート」作品を生みだした工場がワークショップを開催。工場の資材などを活用したものづくりを体験しました。「ネットフェンスで小物掛けづくり+書道体験」では、オレンジやグリーン、イエローなど、カラフルなネットフェンスから好きなものを12本選んで、小物掛けを制作。そのあと参加者自身が書道で「夢」や「愛」などの文字を書き、小物掛けに飾ります。参加者たちはできあがった作品を見て「かわいい!」、「うれしい!」と笑顔を見せていました。「ダンボールでワクワク貯金箱づくり」はあらかじめ用意されたキットを使用。設計図を見ながら本体を組み立て、中央のダイヤルを回すとカプセルが出てくる貯金箱を作成しました。

女と男(ワダちゃん、市川)の2人も小物掛けづくりを体験。1本ずつ数えながら丁寧に色を選択したあと、並び順を考えると、最初の2本を回転させて組み、そこに次の1本、また次の1本と組んでいきます。市川は「金網ってオシャレにできるんですね」とカラフルな金網に感心した様子。自身が購入した古民家「市川ハウス」に金網をつけたいと話します。ワダちゃんは自分の作品を見ながら「毛細血管っぽい」と笑顔を見せると「コンビの間に置いてもいいんちゃう?」。そして12本を組み終えると、引っ掛けるためのフックの取り付け、そして仕上げです。するとそこにモンスターエンジン・西森洋一も登場。「めっちゃオシャレ!」と2人の作品を評価すると、自身も小物掛け作りを始めました。女と男の2人は、引き続き書道体験へ。猪や孔雀の羽などを使った筆の中から好きなものを選び、好きな字を書いてみます。市川は持ちギャグの「トンッ!!」、ワダちゃんは好きな字という「燕」に挑戦。小物掛けに貼り付け、完成させていました。

さらに東大阪・鴻池JAZZ 実行委員会 Presents  JAZZライブが始まります。編成はギター、ベース、トランペット、クラリネット。会場には数多くの観客が詰めかけ、立ち見も出る盛況ぶりです。1曲目はアントニオ・カルロス・ジョビンの「One Note Samba」。会場はプレイヤーと観客の距離が近いため、息遣いや指の動きをリアルに感じられ、より一層ライブ演奏を楽しめます。2曲目は女性ボーカルを加えて「’S Wonderfu」。そこからベース、ボーカルだけで始まる「Just Squeeze Me」、切ないバラードの「I Got It Bad And That Ain’t Good」と続け、ブルースの「Route 66」でエンディング。最後は会場から自然に手拍子も起こるなど、歴史ある古民家にジャズの名曲が絶妙にマッチ。ここだけのスペシャルなジャズライブとなりました。

午後からはMITCH ALL STARSによるライブも開催。1曲目は軽快なメロディが印象的な「Way Down Yonder In New Orleans」。メンバー紹介のあとは「On the Sunny Side of the Street」。気持ちのいいリズムに会場は手拍子でレスポンスします。トランペットのMITCHはMCで、この建物はジャズより古い、ジャズはまだまだ全然新しい、前衛的なジャズ、ロックなジャズ、いろいろ進化していると話すと、ジャズの歴史や本場でのエピソードなどを披露。そして亡くなった盟友たちのためにと「What a Friend We Have in Jesus」をプレイ。続けて「I’ll Fly Away」、そして「What A Wonderful World」ではルイ・アームストロングの歌マネで盛り上げるひと幕も。MITCHは「包み込んでくれる建物で、楽しくやらせてもらった」と笑顔で話すと、メンバーも出演しているテレビ番組で流れる「東京ブギウギ」を聴かせました。

「石切文化財トーク&ウォーク」は、女と男の2人と施設管理者でもあるヘリテージマネージャーの小原公輝氏が出演。トークショーと石切神社までのウォーキングを行いました。登場した市川は早速持ちギャグの「トンッ」でひと滑りして笑いを取ります。まずは石切ヴィレッジについて。女と男の2人が、この建物に入った瞬間に懐かしいと盛り上がったと話すと、小原氏からも、築270年であること、そして初めてでも懐かしいと感じる人が多いと思うと説明が。そして台所に使われているのは400年前の材料と明かすと、詰めかけた人たちもビックリ。加えて庭の石は2億年前のものという説明では「エーッ!」とさらなる驚きの声が上がりました。

続いて、石切ヴィレッジの周辺についての説明です。付近で鯨の骨が出たことがあり、そこは鯨公園になっていること、そして貝塚もあり、それは縄文人が住んでいた証など、歴史のある場所であることを説明。ほかにもすぐ脇を流れている川には以前44の水車があったものの、電気が普及したおかげで今は観光用の1つを残すのみであることなど、周辺の歴史などについても伝えられました。そしてヴィレッジのある土地は、全体で500坪あり、江戸、明治、大正、昭和の建物があると小原氏。そして「ここは江戸の建物で、窓から見えているのは昭和の建物。60年経っていて、プレハブ住宅の1号型として有名と解説しました。

トークのあとはウォークです。小原氏、ワダちゃん、市川はそれぞれ参加者と町並みを眺めながら進んでいきます。日曜ということもあり、参道にはたくさんの人が。女と男の2人は、お願いされると笑顔で写真に収まるなどリラックスムード。そして石切神社に到着すると、全員で参拝。記念撮影を行い、会場へ戻りました。最後に小原さんから「ご苦労様でした!」、ワダちゃんからは「石切ヴィレッジでまた会いましょう!」と挨拶があり、ツアーは終了しました。

晴天の下、訪れた人々は石切りの歴史にふれながら、アートやJAZZに触れるひとときを過ごしました。

  • イベント名
    ファクトリーアートフェスタin東大阪~石切ヴィレッジでアートとJAZZを楽しもう~
  • 開催日

    2024年3月3日(日)

  • 会場

    石切ヴィレッジ(藤井家住宅)

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