11月29日(土)、大阪府豊中市の大阪大学会館にて「まちなかMUSIC&ART DAY」が開催されました。府内各地の日本遺産や文化財等を舞台とした文化芸術プログラムを展開する「大阪文化資源魅力向上事業」の一環として行われたこのイベントは、音楽あふれるまち・豊中市が開催する「とよなか音楽月間2025」とのコラボレーションプログラム。集まった多くの来場者は、歴史ある空間で、音楽とアートが織りなす“いのち”の表現を楽しみました。

大阪大学・豊中キャンパス内にある大阪大学会館は、昭和3年に建てられた歴史的建造物で、平成16年に国の登録有形文化財に登録されています。秋晴れの爽やかな土曜日、レトロで重厚感のある外観が紅葉の鮮やかな色と響き合い、まるで絵画のような景色をつくり出していました。

2・3階講堂で行われた第一部は「まちなかMUSIC&ART DAY~大阪大学会館でいのちをテーマに響き合うハーモニーを楽しもう~ まちなかクラシック特別企画」です。日本センチュリー交響楽団、「1万人の第九EXPO2025」でも注目を集めたソプラノ・高野百合絵氏、日本アカデミー賞音楽賞優秀賞を3度受賞した作曲家/ピアニストの富貴晴美氏による一日限りの特別演奏会となります。ナビゲーターをつとめるのは、豊中市出身のココリコ・田中直樹氏。ステージに登場した田中氏は、20歳まで豊中市に住んでいたという地元愛たっぷりなトークで盛り上げます。

まずは、富貴晴美氏がピアノで「マッサン」「西郷どん」のメインテーマを披露。秋の空気に溶け込む音色が講堂に響き渡りました。続いては、ソプラノ・高野百合絵氏、ピアノ・越知晴子氏がパフォーマンス。フォーレ「ピエ・イエス」、ドヴォルザーク「ルサルカ」より「月に寄せる歌」、「You Raise Me Up」の3曲で、透き通る歌声を披露した高野氏は、「紅葉と歴史ある建物が素敵。リラックスして歌えました」と笑顔を見せました。
日本センチュリー交響楽団による弦楽四重奏モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より第1楽章、バッハ「G線上のアリア」に続いて、富貴晴美氏、高野百合絵氏が加わったソプラノ+ピアノ五重奏では、富貴氏が手掛けた、劇団四季ミュージカル「ゴースト&レディ」より「走る雲を追いかけて」特別編曲版をコラボ。演奏後は、「作曲者の富貴さんと一緒にできて感激です」(高野氏)「世界的歌手の高野さんに歌ってもらえてうれしいです」(富貴氏)とお互いを讃えながら、感想を語り合いました。


さらに、藤原定家の和歌を題材にした富貴氏の新作「いのちのこゑ・四季」も演奏されました。豊中市をイメージして制作したという楽曲について、富貴氏は、「自然豊かで文化芸術あふれる豊中市は、わたしのあこがれの場所。みなさんの顔を浮かべながら作曲しました」とコメント。
すべてのプログラムが終わると、「もっと聴いていたい」と名残惜しそうな田中氏が「もう1曲お願いします!」とリクエスト。高野氏が“歌をはじめるきっかけになった曲”「翼をください」をみんなで歌うことに。誰もが耳馴染のある名曲で一体感が生まれたアンコールとなりました。

第二部は「まちなかMUSIC&ART DAY~大阪大学会館でいのちをテーマに音とアートの共演を楽しもう~」が、アセンブリー・ホールにて行われました。日本センチュリー交響楽団の金管五重奏の演奏に合わせて、2名のアーティストがそれぞれライブペインティングを行うという企画。
パフォーマンスするのは、“毎日がもっとワクワク、キラキラ、トキめくもの”を世界に発信するchiaki kohara氏、「アートは世界を救う」を信念に国内外で活動する玄(GEN)氏。異なる世界観を持つふたりが、同じ曲でそれぞれのキャンバスに同時に作品を作っていきます。「一体どうなるんでしょう!これは実験的なイベントになりそうですね」と田中氏も期待をふくらませます。

前半はクラシックやジャズのスタンダードナンバー中心のゆったりとしたセットリスト。chiaki氏は左の青いキャンバスに白い馬を浮かびあがらせ、玄氏は右の白いキャンバスに力強い線でインパクトのあるキャラクターを描いていきます。対照的なふたりの作品から目が離せません。
「生演奏に合わせて絵を描くのは初めて」という玄氏は、前半を終え、「贅沢な気持ちでのんびり描いています。この先自分でもどんな絵になるかわからなくて楽しみ」と落ち着いた様子。一方、chiaki氏は「思ったよりキャンパスが大きくて、四苦八苦しながら描いてます」と合間も手がとまりません。

後半の演奏は、運動会でおなじみの「トリッチ・トラッチ・ポルカ」などアップテンポな曲が中心です。軽快なリズムに合わせてふたりの筆も進み、絵のタッチもリズミカルに。そして、合計約25分間のライブペインティングが終わると、最後にアッと驚く仕掛けが!スタッフがふたりの作品を中央に移動させ、左右を入れ替えると…なんとセンターにハートが浮かびあがり、見事に絵がつながりました。予想外のラストにお客さんからは「おおーー!」と歓声とともに大きな拍手が。


完成した絵についてふたりは、「相反するモノが交わり生まれる、命とエネルギーをテーマにしました」と解説。田中氏は、「おふたりだからこそ生まれた作品ですね」と感動しきりです。エンディングトークでは、ふたりの意外な接点や田中氏がリードする豊中・地元トークに華が咲き、大盛り上がりの中、イベントは終了。
歴史ある建物に響いた音楽とキャンバスに刻まれたアートに彩られた一日となりました。
