レポート

万博のシンボル“黄金の顔”を背に「立春大吉寄席in万博記念公園」で大笑い

開催日程:

2024年2月10日(土)

会場:

万博記念公園 EXPO’70パビリオン

2月9日(金)のなんばグランド花月での公演を皮切りに、大阪府内一円でさまざまな落語会を繰り広げている「第四回 大阪落語祭」。国立文楽劇場ほか大阪府内の会場で次代を担う上方落語家を中心に、東西の金看板も加わっての豪華な落語会を開催。

2月10日(土)には、「太陽の塔」の「黄金の顔(EXPO’70当時)」が展示されているEXPO’70パビリオン(万博記念公園内)にて『第四回 大阪落語祭 立春大吉寄席 in 万博記念公園』が開催され、演芸場やホールでの落語会にはない雰囲気の中、上方落語の珠玉の話芸が披露されました。

トップを務めたのは笑福亭笑利。高座に上がるなり、「上が気になりますよね⁉」と「黄金の顔」のインパクトを叫びます。「椅子に座って、この顔を見ることもないので貴重な経験ですよ!」と会場を盛り上げ、前座ネタの定番「平林」を披露。笑利は通りを歩く大人たちに「平林」の読み方で翻弄される丁稚を表情豊かに演じました。

続いては桂そうば。福岡出身のそうばは、「めばちこ」や「さぶいぼ」といった大阪弁に驚いたと話します。また、「関西人は勝手に自分の好きな音程にもっていく」と、全国的に知られる固有名詞でも関西独特のイントネーションで言い直す癖があると続けます。師匠の桂ざこばのエピソードでも沸かせると、「手水廻し」を披露。頭の長い人物が登場する場面では、目線や腕を巧みに使い、その長さを表します。表情、声色を目まぐるしく変えながら、田舎の素朴な人物をおもしろおかしく演じました。

中トリは月亭八方。枕から漫談のようなしゃべりで爆笑を巻き起こします。ネタは「応挙の幽霊」。道具屋の主人と好事家の旦那のやり取りを生き生きと。値打ちものかもしれない掛け軸をまじまじと見つめる主人を繊細に演じ、本当に目の前に掛け軸がかかっているようです。また、掛け軸の値段交渉の場面では、通販番組の人気キャラクターのモノマネも取り入れて不敵な笑みを浮かべます。都々逸も披露、味わいある美声をホールに響かせました。掛け軸に描かれた女性の幽霊ではしなやかに。お座敷芸も飛び出し、その芸達者ぶりも堪能できました。

仲入り後に登場したのは桂塩鯛。塩鯛襲名披露時のエピソードも明かし、「この名前にもやっと慣れてきた」と話します。前日の9日に誕生日を迎え、69歳になった塩鯛。「年格好が同じの妻の方が年々元気になっている」と、女性のたくましさに舌を巻いている様子。ネタは桂三枝作(六代 桂文枝)の創作落語「妻の旅行」。定年退職して一日中、妻と家で過ごすことになって初めて、そのパワーを思い知る夫。息子にこぼす愚痴は観客の共感を得るものばかり、悲哀たっぷりに語るたびに吹き出し笑いや、にぎやかな笑い声が聞こえてきました。

大トリを務めたのは桂春之輔です。「先に言うときますけど、まだ終わってませんよ」と高座にあがるなり念を押す春之輔。2023年5月に二代目を襲名した春之輔。師匠は四代目桂春團治です。大名跡を襲名した披露公演を振り返ります。師匠たちの高座のあとに落語をしたことを「サムライジャパンの後に草野球するようなもの」とたとえ、当時の心境を明かしました。

このたびの『第四回 大阪落語祭 立春大吉寄席 in 万博記念公園』ではトリを務めるということで、上方落語の大ネタを用意してきたと言います。そして、「このネタは1つだけ欠点があります。あのね、おもろないんですよ」と笑いを交えます。

船場の若旦那と芸妓小糸の悲哀を描いた人情噺「たちぎれ線香」を丁寧に語ります。
緊張と緩和を巧みに操り、噺の世界へと引き込む春之輔。サゲでは会場に張り詰めていた緊張の糸もぷっつりと切ると笑顔で高座を後にしました。

  • イベント名
    第四回 大阪落語祭 立春大吉寄席 in 万博記念公園
  • 開催日

    2024年2月10日(土)

  • 会場

    万博記念公園 EXPO’70パビリオン

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