1月27日(土)、28日(日)の両日、グランフロント大阪北館1階 ナレッジプラザで、大阪で活躍する現代アーティストの作品をメインに、展示と販売を行う「OSAKA ART MARKET」が開催されました。加えて、パフォーマンスやトークショーなど、アートにまつわるステージも実施。多くの人がアートを身近に感じられるイベントとなりました。
会場には、65組のアーティストの作品を約900点展示。様々なタイプの作品があり、訪れた人たちは時に笑顔で、時に真剣に作品を鑑賞していました。
会場入り口付近にブースを出展していたのがmanamu。作品は粘土を使って作る、ファンタジーな完全オリジナルのモンスターなどの立体物。自然やゲーム、漫画など、さまざまなところからインスピレーションを受け、作品を作っています。今回のイベントを楽しみにしていたと笑顔を見せ、「多くの方に見ていただいて、興味を持っていただけるのがうれしい」と手応えを感じている様子。今後は「自身が作ったキャラクターたちが登場する絵本やアニメーションなどを作ってみたい」と話してくれました。
イベントに参加するにあたり、せっかくなら目立たなければ、とブースの壁紙を用意したというのはMINAMI MIYAJIMA。四角形、立方体、キューブを埋め尽くすように描くことを10年近く続けています。作品は構想から完成までで2週間くらいとのことで、今後は作品が飛び出しているようなものにも挑戦し、最終的には家を建てたいと夢を語ってくれました。
今回の展示作品は、「絵の具を凍らせ、それを溶かして絵を描いている」と話してくれたのが、振本聖一。作品に氷を使うようになったきっかけは、大学時代に暮らしていた秋田県で雪解けの様子を見て、面白いと思ったことから。今後は「商業施設や自然の中など、いろんな場所で新しい作品を生み出していければ」と話してくれました。
2日間に渡ってライブペインティングを行い、作品を完成させたのが、神戸在住のtsubasa.。普段から女の子をモチーフにした絵を描いていて、今回も「見ていて明るくなったり、かわいいとか、そんな感想を持ってもらえるような楽しい絵が描けたかな」と振り返りました。夏には音楽フェスなどでも制作を行っているそうで、これからも音楽やファッションなども含め、いろいろな違うジャンルとコラボできるようになれれば、と希望を語ってくれました。
イベントのMCは瀬戸洋祐(スマイル)、高樹リサ(FM802 DJ)が担当。2日間とも行われた「アート芸人トークショー」の初日には、秋山賢太(アキナ)、HG(レイザーラモン)、竹若元博(バッファロー吾郎)、西森洋一(モンスターエンジン)が登場。ウーイェイよしたか(スマイル)を「聞き手」に、アートについて、笑いを交えてトークが行われました。
HGが「アート、フォー!」と挨拶すると、それぞれの作品を紹介していきます。秋山の作品はみんなが「かわいい〜」と絶賛。腹が立つ子どもを題材にしたコントネタが元になった作品と説明します。HGは自身の描かれたイラストを紹介。背景に大阪らしさを散りばめていることを説明すると「めちゃくちゃかっこいい!」と瀬戸が絶賛。HGは「アメコミ風に描かせてもらった」と話し、iPadのアプリで作り、プリントアウトした作品と明かします。そして「無料のアプリもあるので、みなさんも気軽にできます」と呼びかけました。
竹若は「4,000円する額に収めた」と笑わせてから作品を披露。「悪いのかいいのか、よくわからないというイメージを持っている、トランプのジョーカーを描きました」と話し、HGと同じくデジタル作品であると告白。そして買ってくれた人にはデジタルデータも渡すとアピールしました。西森は立体作品、ゴルフのパターを紹介します。これまでいっぱい作ってきたパターの初代作品で、アルミの塊から削り出したと話すと、全員が「え〜っ!」と驚き。「最近はヘッドが大きいのが流行っているが、なかなか軽いものが売っていない、だからアルミで作りました」と、制作のきっかけも披露。実際にパターを使ってみたところうまく入らず、会場からは笑いが起こります。
ここからはアーティスト活動についてのトーク。よしたかから「作品を作り始めたきっかけは?」と質問が。秋山は仕事の空き時間に楽屋で暇つぶしに描いていたものを、相方の山名から「みんなに見せた方がいい」と言われたと告白。そして「ネタをするよりも作品を見られる方が恥ずかしい、実はあまり会場にいたくない(笑)」と素直な心のうちを暴露。HGは小学校のころ、人気漫画『北斗の拳』を描いて友達が喜んでくれて、そこから上手くなっていったと明かします。竹若は、小さな頃に買ってもらった漫画を模写したのがスタートだったと話し、「いろんなジャンルのものを描くと気づきがある、シンプルなものはしっかり決めないと形にならないから勉強になります」とアドバイス。今は“足す”のではなく、“引く”描き方をしていて「なるべく引き算にして、見てほしいところを出すというのが楽しい。年食ってるんで」と笑わせました。西森は工業高校の工業デザイン科出身で、その道に進もうと思っていたとのこと。しかし、そこから芸人の道に進んだものの、所属事務所の社員から後押しされて工場通いをスタート。3年間誰にも作品を見せなかったものの、徐々に世に出すようになったと振り返りました。
最後は「アーティスト体験」のコーナーもあり、HGがイラストの描き方をレクチャーしました。用意されたスケッチブックとマジックなどをそれぞれ手に取り、瀬戸をモデルに作品制作。会場では買ってもいいという人がいるなど、大いに盛り上がりました。
会場のステージでは、ほかにも様々なパフォーマンスが行われました。大阪在住の書道アーティスト、TOMOKA(竹田知華)は、バトントワリングと書道を融合したダイナミックなパフォーマンスを披露します。ステージでは、MCからプロフィールが紹介されたあと、特製のバトンを持ったTOMOKAが登場。音楽にのせて美しい舞を見せたあと、用意された大きな白いキャンバスにその特製バトンで作品を描いていきます。徐々にできあがっていく作品を、詰めかけた観客も興味津々で注視。完成すると、そこには迫力満点の「龍」が現れました。
パフォーマンスを見た瀬戸は、「ダイナミックかつ繊細でかっこいい!」と絶賛。TOMOKAは、2024年に年女ということで「龍」を書いたと笑顔。そして、誰もやっていないことをしたいと、バトンと書道のパフォーマンスを組み合わせたきっかけや、作品のために、毎日トレーニングをしていることを明かします。今後については、海外進出も考えているそうで、5月にはドバイでのパフォーマンスが決定していることを明かすと、もっとダイナミックにパフォーマンスをしていきたい、と力を込めました。
2日目も前日と同じく11時にイベントがスタート。MCの瀬戸、去来川奈央から「作品がたくさん売れている」とアナウンスがあるなど、多くの人が会場でアートに触れ、親しんでいました。
この日のステージは、まず「パフォーマンスアート×ライブドローイングショー」から。コンテンポラリーダンスとコントーションのパフォーマンスに合わせてライブドローイングを行い、作品を作り上げます。パフォーマンスは、コントーションをKaede、ダンスをLeyが担当、ライブドローイングを井口舞子、杉浦由紀の両名が行いました。この4名でのコラボは初めてで、様々なグリーンをベースに花が描かれたキャンバスでドローイングが始まると、同じくグリーンのコスチュームに身を包んだダンサーがパフォーマンスをスタート。アンビエントミュージックをバックに、ドローイング、コントーションとダンスが進んでいきます。途中、アーティスト同士がアイコンタクトで笑顔を交わすなど、コラボステージならではのシーンも。マットでカラフルな花々が描かれていくドローイングに呼応するように、柔らかな肉体を駆使したコントーションとダンスが、生命の美しさ、力強さを感じさせてくれます。ラストにはドローイングとパフォーマンスが、1つの作品となって完成しました。
そのあとには、初日と同じく「アート芸人トークショー」も。岩部彰(ミサイルマン)、くっきー!(野性爆弾)、酒井藍(吉本新喜劇)、ワダちゃん(女と男)が登場し、聞き手は初日と同じく、ウーイェイよしたかが務めました。4人が登場すると、会場からは拍手と歓声が起こります。まずは自己紹介。岩部は、色鉛筆で風景画、人物画を描くことが多いと話し、作品を見せると瀬戸は「繊細!」と驚き。「くノ一初めての○○○○」という設定で6作品を作成したとのこと。
そのくっきー!は今回は展示がありませんが、その理由として「絵が大きすぎて持って来られなかった、畳18畳くらいある」と明かすと、普段は未来を想定した“なんでもあり”の絵を描いていると説明しました。
酒井は、展示されている「川畑対烏川」という新喜劇座員2人を描いたイラストについて解説。普段から2人は似ていて、お店の人が間違えて領収書を切ったというエピソードを披露し、「四角いブロックになったときに、どっちがどっちかわかりますか」というゲームを描いた作品と話すと、「アートとしてもおもしろいし、見ても楽しい」と瀬戸。ワダちゃんは普段彫っている“消しゴムハンコ”と違い、固いものが彫りたいと思って、木からチェンソーで切り出して自分のこけしを作ったと説明。「絵も描いたりするけど、削ったり彫ったりすることが好きだとわかったので、ゆくゆくは仏像とかを手掛けたい」と夢を語りました。
アート作品を作り出したきっかけとして、岩部は自身が若手のころの千鳥とのエピソードを披露。2人の誕生日に絵を贈っていたそうで、「元々は千鳥さんを笑わせてやろうという思いから始まった」と振り返ります。くっきー!は「アーティストというつもりはない。ただ渡された真っ白キャンバスに絵の具をポンと置いたら、そこから絵って始まるじゃん? 夢中で色を“置いて”たら絵になるんだ」とひとボケ。さらに「常に色のオーディションをしている」とも話しますが、これは香取慎吾の言葉を丸々拝借したものとネタバラシをして会場を盛り上げます。実際は、遊びとして楽屋で描いていた似顔絵から派生して、芸人仲間に結婚式でウェルカムボードを頼まれるようになったことがきっかけと話します。先輩である陣内智則の結婚式のウェルカムボードを頼まれたというレアエピソードを披露し、そこからどんどんアート関係の仕事が増えていったというルーツを明かしました。
酒井はコロナ禍で劇場も閉まっていたとき、新喜劇座員の似顔絵を描いてみようと思い立ったとのこと。ワダちゃんはこっそり絵を描いたり、消しゴムはんこを作ったりしていたものの、相方の市川から出したらいいと言われたそう。さらに現在渡米中のたむらけんじからも勧められ、「周りのバックアップがあったから、表に出ていけるようになった」と振り返りました。
続いてワダちゃんによる「消しゴムハンコ体験」も行われました。あらかじめ、よしたかの娘によしたかの顔を描いてもらった消しゴムを用意。よしたかが仕上げの作業をお手伝いしました。ワダちゃんによると、子どもの描いた絵は消しゴムハンコにすることで「線もいい感じで味が出る」とのこと。ワダちゃんのフォローもありつつ、なんとかハンコが完成。披露すると会場からは拍手が起こり、出演者たちからも「めちゃくちゃかわいい!」「めちゃいい!」の声が上がっていました。