5月31日(土)・6月1日(日)の2日間、大阪城ホールで「OSAKA INTERNATIONAL ART 2025」を行いました。各国大使館・領事館が推薦するギャラリーやアーティストの作品を中心に販売・展示を行うという、国際的で大規模なアートフェアを大阪で行うのは初めての試みです。
2025年大阪・関西万博の開幕に合わせ、アートを取り巻く環境の好循環を生み出すとともに、アートを通じて“文化”と“経済”の交流に繋げるため、大阪城ホール全体が国際的なアートフェアの会場となりました。

「OSAKA INTERNATIONAL ART 2025」は、大阪府・大阪市と各国の大使館・領事館との連携により、現代アートをはじめ、古美術、近代美術、工芸、そしてデジタルコレクティブルなど古今東西のアートワークが世界中から集結するという点に大きな特徴があり、海外42カ所、国内75カ所、合計117のギャラリー等、2500点以上のアートが並び、国際観光文化都市をめざす大阪における初開催の国際的で大規模なアートフェアとなります。
開催前日となる5月30日(金)には、プレスビューと開会セレモニーが行われました。プレスビューには、今回の出展者のひとりであり、大阪・関西万博シニアアドバイザーであるコシノジュンコさんが来場し、囲み取材に応じました。
コシノさんは、大阪にはアートがあるだけではなく、アートに関心がある人がたくさん集まる環境になっていかなくてはいけない、と話し、自身が大阪・関西万博のシニアアドバイザー、企画委員であることにも触れ、「大阪・関西万博の時期に開催できるのは、タイミングがすごくよかった。」とも。「私も作品を出しておりますし、世界からたくさんの作品がこの場所に集まっています。そしてその裏に、その作品を作ったアーティストがいる。大阪のまちがアートに対する理解を深める第一歩だと思います。」と語りました。
また、「アートを家に飾るのは、生活の向上につながる。絵を飾れる家って自慢になる。アートの購入が、住まいや環境、生活がかっこよくなるための大きなきっかけになれば。大きな絵を飾ることは、それだけの広さや環境がないとできないが、大阪にそういう人たちがいるということは、大阪がすごくリッチでアートに理解のあるまちになることにつながる。」と自宅にアートを飾るすばらしさを語りました。

コシノさんのアートワークが並ぶのは「JK GALLERY JUNKO KOSHINO」。白いペンキで模様が描かれたアクリル板が何層にもなっている「平面と立体の動き」について、「難しく考えてやったというよりも、勢い。気持ちが入っている。」と語ります。アクリル板1枚でもアートだが、何枚も続くことでより広がりが生まれることを解説。「しずく」「金色の勢い」「銀炎」など、ほかの展示作品も平面でありながら立体的で、「絵を描くというよりも、彫刻を平面にしたような感じにした。飛び出る勢いがある。」と表現しました。

「OSAKA INTERNATIONAL ART 2025」は、シュールレアリズムを代表する芸術家、マルク・シャガールの絵画を展示・販売することでも大きな注目を集めました。
「GALLERY YUUKI」では「赤い背景の雄鶏」を展示・販売。シャガールの晩年となる1981年に制作された、ガッシュとパステルで描かれた幻想的な絵画です。ニワトリの体内に最愛の妻・ベラ。空中に描かれているのがシャガール本人で、両手に持つ花束はシャガールがベラに贈った初めての花束だといいます。

「Galerie Christiane Vallē(ギャルリー・クリスチャンヌ・ヴァレ)」が展示・販売するシャガール作品は「画家と婚約者」。1981年制作、「赤い背景の雄鶏」と同じくシャガールの晩年に描かれた油彩画で、ここでもシャガール本人と最愛の妻・ベラが描かれています。

「GAAAT」では、イラストレーター・映像クリエイターとして活躍し、Adoさん を筆頭にデジタル上に生きている人間のイメージディレクターを得意とするORIHARAさんと、Instagramフォロワー100万人を超える人気イラストレーターのGUWEIZさんが出展。
ORIHARAさんの描き下ろした作品をもとにGAAATが手掛けた作品5点と、一部作品のモチーフとして制作された衣装が展示販売され、多くの来場者で賑わいました。

「ICHION CONTEMPORARY」では、戦後の日本を代表する前衛芸術を牽引した第一人者、白髪一雄の作品を展示・販売。アクションペインティングの中で、白髪が追求した足を使う独自の描法が「フットペインティング」。アクションと絵画を結びつけた描法で唯一無二の世界を生み出し、海外でも注目を集めているアーティストです。
「具体美術」は、1954年、吉原治良のもとに結集した関西の若手前衛作家のアーティスト集団。1972年に代表である吉原の死により解散するまで、奇想天外な発想で作品を輩出し、現代美術の先駆者として世界で認められています。今展示では、具体美術協会のメンバーの中から、嶋本昭三をはじめとする“第一期”と呼ばれる作家の作品を展示しました。

フィギュア制作で有名な海洋堂が出展した「Kaiyodo Kochi Gallery」では、海洋堂ウルトラマン造形の集大成として、「銅合金 シン・ウルトラマン」を出品。全長2m・重さ230kgと大迫力で、見る人を引き付けていました。

開会セレモニーのオープニングでは、ウェルカムパフォーマンスとして大阪・関西万博開会式で振付を担当し、自らも出演した大阪の姉妹ユニット・SISがダンスパフォーマンスを披露。般若心経をダンス音楽にアレンジし、コンテンポラリーな舞踊で、独創的な空間を演出しました。ダンスが終わると、吉村洋文大阪府知事、横山英幸大阪市長が登壇。

吉村大阪府知事は、「私もプレスビューで見ましたが、素晴らしいアートフェアだと思います。大阪城ホールで国際色豊かなアートフェアを実施するため、昨年から準備を重ねてきました。皆さんの前で、開催できるとお伝えできること、本当にうれしく思います。」と充実の表情。そして大使館、領事館にも協力してもらい、海外作品も数多く集まったことに感謝を伝え、「大阪をアートのまちにしていきたいと思います」と宣言しました。
横山大阪市長もまた、大使館、領事館、そしてギャラリーの方々の力添えに感謝を伝え、「大阪はアートにしっかり力を入れていきたいと思っています。」と強調。また、日本はアート市場の取引額が世界に比べて小さいという課題を上げ、そのため今回は保税展示場許可を取得し、海外から作品を持ち込みやすくすることにも尽力したと話します。
今回が大阪府と大阪市が関わる国際的で大規模なアートプロジェクトの初開催とあり、その背景を横山大阪市長はこう話します。「大阪は上方文化と言いまして、歴史的にも素晴らしい文化が培われてきました。歌舞伎、人形浄瑠璃、そしてこうしたアートをもっと身近に感じてもらい、大阪の都市格を上げていきたいと考えています。」
もうひとつ、力を入れるべきはマーケットだと強調し、マーケットを活性化させることでアートを身近に感じてもらい、そしてアーティストにも活躍する場をぜひ持ってほしいと話しました。
これを受けて吉村大阪府知事は、今回のOSAKA INTERNATIONAL ARTを成功させ、来年、再来年と続けていきたいとビジョンを語りました。

続いて鏡開きが行われ、外務省特命全権大使の三澤康さん、コシノジュンコさん、大阪・関西万博公式キャラクターのミャクミャクが登壇。合図のあと、来場者全員で「よいしょ、よいしょ、よいしょ!」と声を合わせて鏡開き。会場は万雷の拍手。
乾杯の挨拶は、三澤さんが行いました。「OSAKA INTERNATIONAL ART 2025」を鑑賞し、「アートは強い力を持っており、人々の心を動かし、人をつなぎ、そして世界をひとつにする力があると感じた。」と話すと、「『OSAKA INTERNATIONAL ART 2025』の成功と、人々を、世界をまとめる力のあるアートに対して、それから万博の大成功を祈って、乾杯!」の声に合わせて来場者も乾杯。大きな拍手が起こりました。

ステージでは、墨画アーティストの東學さんによるアートパフォーマンスが行われました。三味線演奏をバックに、ダイナミックに筆を走らせていくと、まるで今にも天へと昇っていきそうな龍の墨画が出現。来場者からは大きな拍手が起こりました。
中締めの挨拶では、再び横山大阪市長が登壇。「本当に、皆様のおかげです。」と改めて感謝を述べた後、「芸術に、しっかり力を入れていきたいと思います。」と言明しました。

5月31日(土)・6月1日(日)の2日間、大阪城ホールは国内外からアートを愛する来場者で賑わいました。
会場にはプレスビューと開会セレモニーに出席したコシノさんのほか、マルク・シャガールの絵画、白髪一雄の作品など、2500点以上のアートが販売・展示されました。
