10月21日(土)、22日(日)、万博記念公園で『EXPO ART & MUSIC CAMP』が開催されました。このイベントは大阪国際文化芸術プロジェクトのひとつとして行われたもの。大阪国際文化芸術プロジェクトは、2025年に行われる大阪・関西万博開催時、国内外から訪れる多くの人々に大阪の文化芸術を楽しんでもらうことを目的として、今年7月から実施されています。
イベントは万博記念公園内の各所で行われ、2日間にわたり多くの人が訪れました。多彩なミュージシャンが出演した音楽プログラムに加え、アート作品の展示やワークショップなどのアートプログラムも実施されました。
<’70万博のレガシーを学べるツアーを開催>
最初にスタートしたのが『万博記念公園レガシー&アートツアー』。これは、1970年に行われた大阪万博のレガシーとアートを学ぶ体験ツアーで、万博グッズコレクターの白井達郎がガイドを担当。同イベントは2日とも行われ、初日はファンファーレと熱狂(こうちゃん、奥慎太郎)が、2日目にはネイビーズアフロ(みながわ、はじり)が同行し、ツアーを盛り上げました。白井はまず1970年の万博当時の地図を開き、当時の状況を説明。初めて聞く話に、参加者たちは「へ〜」、「知らなかった」と感心しきりです。それからも当時の写真などを見せながら、今の施設との違いを説明。ネイビーズアフロの2人は当時の来場者数などを聞いて驚きの表情を見せたかと思うと、白井に疑問点を質問するシーンも。みながわは得意のうんちくで参加者たちを笑わせます。
そして、もともとは鉄鋼館だったというEXPO’70パビリオンへ。白井は展示されているパネルなどを使って、万博に関する知識をレクチャーしていきます。2階のフロアに置かれたジオラマでは、丹下健三が設計した会場の内容について説明。そして1,008個のスピーカーが吊られたスペースシアターホールでは、コンピューターを使わずに作られたこと、ここで日本の古典芸能が行われていたことなどが伝えられると、こうちゃんは「今度ここで単独ライブします!」とアピールし、笑いを誘います。このほか、当時はホステスと呼ばれていた女性スタッフのユニフォーム展示や万博に関する数字がランダムに書かれた壁など、施設内は見どころ満載。そしてツアーのメインのひとつ、初代黄金の顔の展示スペースへ。黄金の顔を見た参加者たちは「大きいですね!」、「めちゃくちゃすごい!」とビックリ。みながわから当時太陽の塔で起こった籠城事件について質問された白井が、事件のエピソードを明かすと、参加者からは驚きの声がもれていました。さらに顔の直径が10mと聞いたみながわは、すかさず面積を計算、発表して笑いをゲットします。参加者たちは初代黄金の顔の前で記念撮影、芸人と一緒に撮影する参加者の姿も見られました。
<太陽の塔内の生命の樹は圧巻!>
続いては太陽の塔の中へ。岡本太郎のスケッチなどを見ながら進んでいきます。地底の展示などのあと、白井から当時は「生命の樹」が動いていたことなどが説明されると、参加者は興味深い様子で「生命の樹」を見上げていました。その後、階段を使い、生物の進化を見ながら、どんどんと「生命の樹」上部へ登っていきます。最上部は地上約25mの高さにある太陽の塔両腕の位置あたり。参加者たちは、長さ約30mの腕の内部の鉄骨などのここでしか見ることのできないレアな光景を満喫していました。
<ライブペインティングや子どもも楽しめるワークショップも!>
『EXPO’70 in 2023 具体 the REVIVAL VOL.02 具体美術まつり&AUアートパビリオン』では、大阪が生んだ代表的アート『具体美術』の展示会を実施するとともに、現代に生きる『AU(ART UNIDENTIFIED)』の作品を展示、ワークショップも行われました。
『AUアーティスト ワークショップ』は、アーティスト団体『AU』による参加型ワークショップ。参加者はアーティストとともに作品やアイテムを制作します。アーティストTHEO HAZEによる『テオヘイズの宇宙オニ』「マインドフルネス★ぬり絵&お絵かき」は、幅広い年齢の参加者たちが“宇宙から地球に最初にやってきたオニ”である『1st Oni』のぬり絵をしたほか、オニの宇宙人を自分のイメージで描くといった内容。参加者たちは、さまざまな色を使って自由に個性的な絵を完成させていました。
Shuによる『シュウさんの超人気アート工作教室『きらきら*ロボット&タウン』』では、ダンボールパーツセットを使ってロボットを作り、色付け、飾りつけをしてクリスマスオーナメントに仕上げたほか、透明カップに絵を描き、きらきらタウンを制作。参加したファミリーは、各自が思い思いのロボット&タウンを作っていました。
松井コーヘーの『太陽の塔 みたいな、おもしろいお面をつくろう』は、太陽の塔の顔が描かれたボール紙に参加者が手を加え、お面を作るというもの。子どもたちはボール紙に色を塗ったり、用意されたフェルトやモールなどを使って、自分だけのお面を作っていました。
アートな缶バッジを作ったのは、神野翼の『現代芸術缶バッチワークショップ』。まず台紙を丸く切り抜いて、その真ん中にキラキラの絵の具4色を一滴ずつ垂らします。その台紙と缶バッジのベースを缶バッジマシーンに置き、プレスすると缶バッジのできあがり。そこにブルーやレッドなど、カラフルなデコシールを貼ったり、レジンでデコビーズを付けたりして、オリジナルの缶バッジを造りました。
『LIVE PAINTING』では、アーティストが目の前で作品を制作。’70expoパビリオンでは、初日に高田雄平、中尾公紀が、2日目は金澄子、松田真魚が、それぞれ個性あふれる作品を制作。来場者の注目を集めていました。高田は今というよりはこの空間にどう合わせるかを考えて今回の作品を仕上げたとコメント。大阪万博への思い入れを詰め込みたいと、赤はエネルギーそのもの、黄色は注入、白は発散しているイメージであることを語りました。中尾は、仕上がった作品を前に、今回はここで止めた感じ、描こうと思えば描けるけど繰り返しになると明かすと、この作品は今日の日記みたいなもの、タイトルはみんなが決めてくれたらと話しました。
金は、普段から「インパクト=衝撃」で作品作りしていると話し、今回も衝撃というテーマで、強いて言うなら陰と陽とコメント。そして、自分自身が作品を作っていて楽しいか、出来上がって楽しいかが大切と話すと「それでこそ見る人が楽しく見ていただけるかな」と笑顔を見せ「けっこう思い切り描かせていただけました」と作品制作を振り返りました。いつも即興で作品を作っているという松田。今回の作品はアクリル絵の具と棕櫚のホウキを使って作成。作品については、会場に流れていたBGMからインスパイアを受けている感じがする、と話しました。
ほかに園内のストリートでは、井口舞子、tsubasa.が2日間かけて作品を完成させるライブペインティングも実施。作品が出来上がっていく様子を通りがかりの人たちも熱心に見つめていました。
<緑の中で、黄金の顔の前でジャズを演奏>
『黄金の音楽会・森の音楽会』は、今年8月新たにオープンしたEXPO’70パビリオン別館と現代美術の森で開催。大阪を代表するジャズバンド・アロージャズオーケストラのメンバーによるアロージャズオーケストラ・ジャズカルテットがミニコンサートを行いました。メンバーはサックス、ベース、ドラム、そして1日目はギター、2日目はキーボードという内容。現代美術の森では、緑に囲まれたスペースで『枯葉』、『A列車で行こう』、『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』、『ユー・アー・マイ・サンシャイン』などのナンバーを演奏。詰めかけた観客は、青空の下で行われた素晴らしいライブに聴き惚れていました。EXPO’70パビリオン別館では、初代黄金の顔をバックにライブを実施。タキシードに身を包んだメンバーが奏でる『酒とバラの日々』、『星に願いを』、『ウェイブ』、『明るい表通りで』、『テイクファイブ』といった曲に、来場者は身を委ねていました。
<芸人のワークショップには子どもが多数参加!>
上の広場、下の広場で行われたのが『EXPO ART CAMP』。上の広場ではアートをテーマにしたワークショップを開催。LEGOや折り紙など、子どもも楽しめるワークショップも多数開かれました。女と男・和田ちゃんは『消しゴムはんこ教室』を担当。参加者たちは好きなイラストを消しゴムに描いたあと、彫刻刀で彫り、はんこを完成させていました。
『レゴ教室』を担当したのは、レゴブロック「マスター・モデル・ビルダー」を決定するファイナルコンテストでの優勝経験がある、まっこん。ワークショップでは使うと便利なレゴ、レゴの丸の部分の呼び方などをレクチャーしたほか、ハロウィンが近いということで、子どもたちといっしょにモンスターを作成。それぞれがいろんなレゴを使ってモンスターを作っていました。
夫婦円満(くもんリサ、小米良啓太)は『バルーンアート教室』を開催。参加者たちはカラフルな花を作成。夫婦円満の2人は見本を手に、バルーンの膨らまし方、結び方などをわかりやすくレクチャー。子どもたちに声をかけながら、バルーンアートを完成させていました。
また、バタハリ(いながきスタイル、バッフォイかさはら)、とんぺてぃーず(きのした先生、たかしろ)の『芸人と一緒にジャグリングを体験してみよう!』のほか、『ハンドメイドのオリジナルキーホルダーを作ろう!』、『ダイドードリンコ「ペーパークラフト自販機」製作体験』などのワークショップも合わせて行われました。
下の広場では“アートを楽しむ”をコンセプトに『ART ENNICHI』が開催されました。綿菓子アートやアート飴細工などの縁日、輪投げや射的、スーパーボールすくいなどのブースを設置。アーティストが看板を手がけるなど、遊びながらアートを感じられるよう作られていて、多くの人で賑わっていました。ホラーハウスでは、施設内の通路などにアート作品を展示。大人から子供までモンスターが現れる肝試しとともに、作品を楽しんでいました。
このほか、『OSAKA SPORTS PROJECT』、『OSAKAミュージアム』や『大阪文化資源魅力向上事業』のPRが行われました。
<秋空の下で行われたライブで盛り上がる>
初日のもみじ川芝生広場では“MUSIC&RELAX”をコンセプトに、ピクニックスタイルのミュージックフェス『Chillin’ Vibes』を開催。多くのアーティストが参加するなか、トリを飾ったのはBEGINの3人。『三線の花』から『海の声』へと続けると、「最後から2番目の曲やります」と笑わせてから『島人ぬ宝』へ。ちょうど日が暮れた会場では、オーディエンスが両手を振ってレスポンスします。そして「最後の曲です」と話し、会場から「え〜」の声が響くと「最後の曲は25分くらいあります」と盛り上げ、『バルーン』から『上を向いて歩こう』、『明日があるさ』などの懐かしい曲から『国道508号線』、『笑顔のまんま』、『オジー自慢のオリオンビール』などの名曲を連発、ラストは『涙そうそう』で締めくくりました。
2日目のもみじ川芝生広場で開かれたのは『EXPO MUSIC CAMP』。アーティストによるアコースティックライブが行われたほか、人気ピアニスト・ハラミちゃんはトーク&ライブを実施。ステージに現れたハラミちゃんは観客に手を振り「晴れてよかったですね」と笑顔を見せます。ファッションチェックでは、今日の自身のファッションのポイントについて「モケモケです!」と即答し、ピアノが黒いので明るい色を着るようにしていると説明。大阪のカルチャーについては「大阪の皆さんは全員親戚的な匂い、すごくいい意味で距離感がバグってるというところが大好き」と話したほか、今年行ったというフランスでのストリートピアノ中のエピソードなども披露しました。
ライブでは、ステージ中央に置かれたグランドピアノの前に座ってプレイ。楽しげに演奏するハラミちゃんのピアノの音が、秋の青空に吸い込まれていきます。MCでは改めて「晴れてよかった〜!」」と笑顔。そして会場の子どもたちからリクエストを募り、3曲をセレクトします。中には知らない曲もあったものの、ピアノを弾き出したかと思うと、3曲をきれいにつないだメドレーを披露してくれました。最後は手拍子で盛り上げてほしいと会場にリクエスト。ラスト曲の『明日があるさ』では、会場全体から手拍子が鳴り響きました。
ライブ終わりには、改めて会場に「とっても今日は楽しかったです!」と感謝を伝え、ライブは終了しました。