大阪・関西万博に向けて実施されている「大阪国際文化芸術プロジェクト」の一環として、2025年2月1日(土)〜16日(日)に大阪松竹座で『立春歌舞伎特別公演』が開催されます。その記者発表会が11月11日(月)に大阪市役所で行われ、吉村洋文大阪府知事、横山英幸大阪市長、そして中村鴈治郎ら歌舞伎俳優が出席。公演に向けた意気込みや見どころを語りました。
会見のMCを務めた福本愛菜が、この日の出席者を紹介します。吉村大阪府知事、横山大阪市長、中村鴈治郎、中村扇雀、片岡愛之助、中村獅童、市川中車、中村壱太郎、中村虎之介、市川團子、そして松竹株式会社 市村昌也 執行役員です。
まずは吉村知事が挨拶に立ち、大阪府が大阪市と共同で文化芸術の振興と発信に力を入れていることに触れながら、「歌舞伎のすばらしさを体感してもらい、文化芸術の魅力を発信することで都市魅力につなげていければ」と話しました。
横山市長は、今年2月の公演を振り返って「迫力を感じた」と話すと、『立春歌舞伎特別公演』について「大阪の風物詩として根付いて、上方の文化を感じてもらえる一端となれば。そして、万博、その先の未来に向けて、大阪の都市格を向上させるためにも、大阪から文化を発信する機会にしたい」と力を込めました。
今回の演目は、上方にゆかりのあるものばかり。役者として最初に挨拶に立った鴈治郎は「来年も参加できること、うれしく思います」と笑顔を見せると、今回、出番が4役あるうち『本朝廿四孝 十種香』の謙信は初役であることなどに触れながら、「このメンバーでいい芝居ができれば」と意気込みました。
扇雀は「いままで歌舞伎に触れたことのない方に届くようになればいいなというのが、いちばんの望み。歌舞伎がもっと身近なものになるのが僕らの希望」と挨拶。そして、会見翌日が上方歌舞伎の立役者である四世坂田藤十郎の命日であることに言及し、「上方歌舞伎を大阪でしっかり残していきたい」と語りました。
愛之助は『本朝廿四孝』で演じる原小文治が初役であることや、『恋飛脚大和往来 封印切』で同世代の獅童と舞台に立つことの嬉しさを語ります。そして、“宙乗り”があるという夜の部の『義経千本桜』について、「いつもと違うところをやる。そしてわかりやすく楽しくなっているので、ぜひ劇場へ足をお運びください」と呼びかけました。
獅童は上方和事(わごと)の代表作『恋飛脚大和往来 封印切』で亀屋忠兵衛役を勤めることについて、まずは「今日になってことの重大さといいますか、なぜこのお話を引き受けてしまったのか、プロデューサーにだまされたのかな」と話して笑わせます。そのうえで、「とにかく一生懸命やらせていただきます」と気合十分の表情で語りました。
中車は、ホテルから見えたという御堂筋の景色や万博の話をしていると、獅童から「もっと2月(の公演)のこと言ってください」とツッコミが入ります。仕切り直して、今回の演目である『幸助餅』について、8年前にやって以来だと話しながら「大阪で楽しい思い出にできれば」と語りました。
一方、「昨年の会見をしてから1年たつんだな」と振り返った壱太郎は、歌舞伎界に若手世代はたくさんいるものの、関西の役者が少ないことに言及し、「これからともに関西も若い力で盛り上げていきたい」とアピールします。
虎之介は、今回の公演について「古典の名作がそろっていることをうれしく思う」と言うと、『幸助餅』に関して「上方のお芝居なので、上方のお客さまに楽しんでいただけると思う」と語りました。
團子は、今回演じる3つの役がすべて初役であることに触れ、なかでも『義経千本桜』の卿の君は「人生初の姫役」だと明かします。そして同じく『義経千本桜』の亀井六郎役についても「初めて赤っ面役を松竹座で勤めさせていただきます」と気合を入れていました。
改めて立った鴈治郎は、今回の公演が大阪・関西万博を2カ月後に控えたタイミングで開催されるため、「海外の方にも歌舞伎に触れてもらえる公演になれば」と期待を込めます。
愛之助は「個人的な夢」と断りつつ、関西での歌舞伎公演を大阪松竹座と京都・南座で1カ月ごとに交互に年間通して行う構想を話し、「それにずいぶん近づいていると思っている」と期待を寄せました。
一方、獅童は「大阪を微力ながら盛り上げていきたい気持ちがある」と話します。そして、今回の公演で「関西の代表演目『封印切』を一生懸命勤めたいと思います」と力を込めました。
役者たちの意気込みを聞いた吉村知事は、「いろんな世代の人に見てもらいたい。歌舞伎のファンになってもらえたら」とコメント。さらに、2030年に大阪・夢洲で開業予定の統合型リゾート(IR)に触れ、「世界のエンターテインメントを大阪のベイエリアでやる。こういうのも歌舞伎とミックスして、新しいものを生み出してくれたら」と期待を込めました。