レポート

大阪府・大阪市が上方歌舞伎とタッグ!『立春歌舞伎特別公演』に中村鴈治郎、中村扇雀、片岡愛之助ら出演

開催日程:

2023年11月27日(月)

会場:

大阪市役所 屋上階P1共通会議

2025年の大阪・関西万博で、国内外からの多くの来阪者に大阪の文化・芸術を楽しんでいただくことを目的として、今年度から大阪文化芸術事業実行委員会により「大阪国際文化芸術プロジェクト」が実施されています。このたび、その一環として、2024年2月2日(金)〜18日(日)、大阪松竹座にて『立春歌舞伎特別公演』が行われることになりました。

これに先駆け、11月27日(月)に大阪市役所で開かれた記者発表会には、中村鴈治郎、中村扇雀、片岡愛之助、中村壱太郎、尾上右近が出席。吉村洋文大阪府知事、横山英幸大阪市長とともに、公演の見どころや意気込みを語りました。

大阪、そして関西が舞台の演目がズラリ
会見は、福本愛菜のMCで進行。冒頭で挨拶に立った吉村知事は、「大阪の文化・伝統芸術は他には絶対負けていない」と力を込め、今回の『立春歌舞伎特別公演』は「関西や大阪を舞台とした演目で、上方歌舞伎の役者さんが共演する豪華な公演になる」と期待。「今はよく『ネットがあるから』『スマホで見れるじゃないか』と言われるが、ライブエンターテインメントを実際に見て、肌で感じる熱量は絶対に無くならない。歌舞伎役者の皆さんには、存分にその魅力を発信していただけたら」と呼びかけます。

横山市長は、大阪松竹座がある道頓堀川周辺が、かつて「道頓堀五座」と呼ばれる芝居小屋が並び、日本屈指の劇場街として栄えてきたことに触れつつ、「今回の公演は大阪の文化・芸術・芸能が詰まった魅力的なもの。私自身も大変楽しみにしています」。大阪市内が舞台となっている演目もあることから、「大阪の方はもちろん、大阪に来られる方にも、そういった視点からもご覧いただきたい」と述べました。

演目は、昼の部が『源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)』、夜の部が『新版色讀販(しんぱんうきなのよみうり) ちょいのせ』『連獅子(れんじし)』『曽根崎心中(そねざきしんじゅう)』。『源平布引滝』は、「義賢最期(よしかたさいご)」「竹生島遊覧(ちくぶしまゆうらん)」「実盛物語(さねもりものがたり)」を通しで上演。戦後は通しで上演された記録がないという貴重な機会となっているほか、『新版色讀販 ちょいのせ』では、二世中村鴈治郎の当たり役に四代目鴈治郎が挑みます。歌舞伎舞踊屈指の代表作『連獅子』は、扇雀と中村虎之介の親子共演が見もの。近松門左衛門没後300年の企画として取り上げる『曽根崎心中』では、鴈治郎指導のもと、壱太郎と右近という若い世代が奮闘します。


『実盛物語』『新版色讀販 ちょいのせ』『曽根崎心中』と、出演するすべての演目が初めて演じる役=初役という鴈治郎は、「50年、60年役者をさせていただいているが、三つとも初役というのは初めて。なかでも『曽根崎心中』については、父(四世坂田藤十郎)と祖父(二世中村鴈治郎)が代々やってきたものを私もこれまで何度もやらせていただき、今回はある意味の世代交代。壱太郎と右近くんで(お初と徳兵衛を)やるということで、2人の新しい“心中”ができるのではないか」と心境を語ります。さらに、2月に大阪で歌舞伎公演を行えることを喜び、「毎年続けていただいて、一つでも多く大阪で芝居がかかることのきっかけになれば」と話しました。

扇雀は、2015年以来、長男の虎之介との親子共演となる『連獅子』に加え、「心中ものから喜劇まで、歌舞伎の幅の広さを楽しんでいただける演目」と胸を張ります。同じ2月に東京歌舞伎座で、長年、ともに舞台に立ってきた故・十八世中村勘三郎の追善公演が行われることから、「ちょっと話がずれますけれども、私も追善の意味を込めて、この連獅子を勤めたい」と力を込めました。

「『竹生島遊覧』は、実は昔からやりたかった演目」というのは愛之助。通しで上演することで、初めて歌舞伎を見る人にもよりわかりやすくなると話す一方、上方で歌舞伎俳優を目指す人を増やし、もっと育てていかなければならない、とも。そのため『源平布引滝』では若手も抜擢し、「上方みんなで頑張っていきたい」と決意を新たにします。また、竹生島のある琵琶湖にちなみ、現在公開中の出演作『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜』もチラリとPR。愛之助演じる大阪府知事のキャラクターは、吉村知事をモデルにしたそうですが、当の吉村知事からは「悪役ですやん!」とクレームがついたとか!? 愛之助は「大阪を愛するあまりにそうなったキャラクター。大阪を愛する熱い心は変わらない」とフォローして笑いを誘っていました。

壱太郎は、『源平布引滝』で夫婦役、『新版色讀販 ちょいのせ』『曽根崎心中』でいずれも恋人役を演じる右近に、「同世代で一番最高のタッグが組める男」と絶大な信頼を寄せます。この言葉に右近が「結婚します!」と割って入ると、「結婚するような意気込みで熱い舞台を勤め、必ずやこの公演が未来に繋がるように努めていきたい」と笑顔。

そんな右近は、「関西の先輩方の中に、江戸の人間として参加させていただけるということは、本当に“めっちゃうれしいですわ”」とさっそく関西弁を披露。「先輩方の胸をお借りしながら、存分に上方の芸を勉強させていただけたら」と燃えていました。

この後も、それぞれが公演への想いを熱く語ります。万博会期中に歌舞伎は上演されるのかと質問された吉村知事、横山市長は、「まだプログラムは決まっていないが、ぜひ会期中に大阪からその魅力を世界に発信したい」と口をそろえていました。

  • イベント名
    大阪国際文化芸術プロジェクト「立春歌舞伎特別公演」記者発表会
  • 開催日

    2023年11月27日(月)

  • 会場

    大阪市役所 屋上階P1共通会議

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