レポート

熱気あふれる第六回『大阪落語祭』を振り返る!東西の噺家が連日集結!

開催日程:

2025年8月26日(火)~8月31日(日)

会場:

国立文楽劇場

大阪弁などの上方言葉を用いて繰り広げられる「上方落語」は、発祥から300年の歴史を有し、移りゆく時代と共に進化し、大阪の文化芸術を代表する伝統芸能のひとつです。

今年で第六回目を迎えた『大阪落語祭』は国立文楽劇場を舞台に、8月26日(火)~31日(日)の6日間、東西の金看板から次代を担う上方の若手落語家まで、連日連夜にわたり、趣向を凝らした華やかな落語寄席を開催しました。

全10公演行われた「大吉立秋寄席」では、各回とも上方の重鎮が「中トリ」を、「トリ」の前の「もたれ」を東京の金看板が、そして笑福亭銀瓶さん、桂南天さん、桂米紫さん、桂春蝶さん、桂かい枝さん、林家菊丸さん、桂吉弥さん、笑福亭喬若さん、笑福亭鉄瓶さん、月亭方正さんという上方の中堅噺家10人がトリという大役に挑みました。

8月30日(土)の「大吉立秋寄席」2回目公演では、桂源太さんが開口一番を勤め、元気よい挨拶で幕を開けました。ネタは「牛ほめ」。家主からお小遣いをもらえるチャンスに一段と張り切る男の姿をユーモラスに描きました。

続いて柔和な笑顔が印象的な笑福亭生寿さんが登場。「落語家はいろんなことを勉強しなければならない」と。よく歌舞伎に行くエピソードを明かし、「娯楽の少なかった時代は歌舞伎が気軽に楽しめていたようです」と本題へ。芝居好きの息子が登場する「七段目」を披露し、人形ぶりの真似をする場面では、中腰になって熱演しました。

中トリは笑福亭鶴瓶さんです。人気のレギュラー番組での裏話をしつつ、六代 桂文枝さんに「これをやってください」と頼まれたという創作落語「悲しみよありがとう」(桂三枝作)を口演しました。恩師のお通夜で集まった同級生たち。彼らの赤裸々な会話を隣で聴いているような臨場感で沸かせました。

中入り後は、東京からのゲストである柳亭市馬さんです。「大阪の暑さは格別ですが、これがまた大阪らしいですね」と市馬さん。猛暑を忘れさせるようなさっぱりとした語り口で「片棒」をじっくりと聞かせました。ネタ中では、美空ひばりさんのヒット曲「お祭りマンボ」の一節を朗々と歌い上げる場面もあり、自慢ののども披露しました。

この日のトリは桂南光さんの弟子の桂南天さんです。高座では深々と一礼して「とどめを刺しに出てまいりました」と南天さん。8月26日と27日には南光さんが、30日には南天さんの弟子の桂天吾さんが出演、「親子三代で出られるのはうれしいことです」と笑顔を見せました。そして、修行期間中に南光さんによく怒られたと数々の失敗談で沸かせます。ネタは「代々受け継がれている噺」と紹介し、26日に南光さんも披露した「ちりとてちん」です。腐った豆腐を食べる場面では、オーバーアクションかつギャグもふんだんに散りばめ、南天さんらしさで魅了しました。

「第六回 大阪落語祭」のフィナーレを飾る「大千穐楽公演」は、上方落語家による珠玉の高座はもちろん、「100秒小噺」、「大喜利」と、盛りだくさんの内容で満員の観客を楽しませました。司会に桂米團治さんと近藤夏子さんが登場。「立秋大吉寄席」を振り返り、「今日は落語家が30人以上登場しますよ!」と米團治さん。まずは落語からスタートしました。

スタスタとした足取りで高座に登場したのは桂福留さんです。「落語にもお医者さんの噺がありますが、頼りないお医者さんが出てくるのが定番」と、「犬の目」を披露しました。目の痛みを訴える患者から目玉を取り出して、代わりに犬の目玉を入れるという奇想天外な古典落語を朗らかに語り、会場を温めました。

今年3月20日に桂ちょうばから四代目を襲名した桂米之助さんが登場。「こんなにいい名前を襲名したからには、古古古米にならないように、立派な銘柄米になりたいです」と決意を新たにしました。ネタは「虫売り」です。鈴虫、コオロギ、キリギリスと鳴き声で季節感を出し、最後は真っ暗になった部屋に蛍の光が点々と浮かんでいる情景を丁寧に描きました。

にこやかな笑顔がトレードマークの桂文三さんは、「堪忍袋」を口演しました。夫婦喧嘩の場面から始まるこの噺、金切り声でネタの世界へいざないます。些細なことから大げんかに発展した夫婦の様子を、息も切れ切れに熱演する文三さん。夫婦のみならず、あらゆる人の愚痴をため込み、膨れ上がった堪忍袋がはちきれん様をユーモラスに演じました。

1回目の「100秒小噺」では桂春之輔さん、桂鯛蔵さん、笑福亭松五さん、桂二乗さん、桂咲之輔さん、桂ちきんさん、月亭天使さん、桂小留さん、月亭遊真さん、桂りょうばさんが登場。「夏」をテーマに100秒の小噺を作りました。そして一番良かった人を近藤さんが選びます。近藤さんが選んだのは、「ストリートピアノ」と題して、久石譲さんの「Summer」を声で奏でた咲之輔さんでした。

中入りを経て再び落語へ。後半のトップバッターは桂小鯛さんです。落語している最中に若いカップルが喧嘩を始めたというエピソードから、「落語の中にもけったいな人間が出てきます」といって、知ったかぶりの男が登場する「やかん」を口演。噺の後半は講談の調子で熱弁をふるう小鯛さん、「あつぅ!」と顔の汗をぬぐいました。

桂吉坊さんは「古いお話をば…」と大阪の商人が登場する「足上がり」を披露しました。番頭さんのお供で芝居を見に行った丁稚。小遣いももらいホクホクの丁稚を表情豊かに演じます。一方、店の旦那はどっしりと構えて貫禄を出し、芝居の様子を番頭が語る場面では賑やかに。上方落語特有の音響効果「ハメモノ」もあり、落語の魅力がたっぷりと詰まった時間を創出しました。

第6回「大阪落語祭」の大トリは笑福亭松喬さんです。マクラでは、「落語家も文楽、能狂言、歌舞伎を見なあきません。吉坊さんみたいな生活をおくらなあかんいうことです」と芸達者な吉坊さんをリスペクトしました。ネタは松喬さんが得意とする泥棒ネタのひとつ、「月に叢雲」で、こちらは落語作家の小佐田定雄さんが松喬さんのために書いた新作落語です。盗人と盗品を買い取る闇の商売人が登場、彼らの間のあってないような合言葉や、「七面観音」や「九百九十八手観音」、「六福神」など売り物にならないものが次々登場、会場を沸かせます。また、松喬さんは弟弟子の笑福亭右喬さんのエピソードでも笑いを誘いました。

2回目の「100秒小噺」は、笑福亭由瓶さん、桂しん吉さん、笑福亭呂竹さん、桂吉の丞さん、桂福丸さん、桂團治郎さん、桂小梅さん、笑福亭大智さん、桂おとめさん、月亭柳正さんが登場しました。小噺のテーマは「国宝」。この中から1位を決めるのは1回目に続いて近藤さん。AI落語家・桂ロボ團治が人間国宝に認定されたらしいという噺を時間内にきっちり落とした桂福丸さんと悩んだと明かす近藤さんが最後に選んだのは、3本の短い小噺を披露した桂おとめさんでした。

フィナーレは「大喜利」です。桂楽珍さん、笑福亭生喬さん、桂力造さん、森乃石松さんからなる月亭八方さんのチームと、桂三歩さん、笑福亭風喬さん、桂佐ん吉さん、桂惣兵衛さんからなる桂小文枝さんのチームに分かれて、大喜利の定番といわれる「やりくり川柳」や「あいうえお作文」に挑戦。あいうえお作文では、小文枝チームは「べいちょう」のあいうえお作文で桂米朝さんの人となりを表現。米朝さんの愛称が「ちゃーちゃん」になった経緯を米團治さんが明かす一幕もありました。八方チームは「よねだんじ」のあいうえお作文です。あることないことを言い触れ回る内容に苦笑いを浮かべる米團治さんですが、落語家の皆さんに愛されていることを垣間見ることができました。

最後は「一週間にわたり、お越しいただいた感謝でございます。またこれからもこんな機会があると思います。また足をお運びください」と八方さん。小文枝さんも「皆様方のお力を得てできた『大阪落語祭』です。これからも大阪の落語を見捨てることなくよろしくお願いします」と挨拶しました。そして、出演者が舞台に大集合し、八方さんの発声による大阪締めで結びました。

  • イベント名
    第六回 大阪落語祭
  • 開催日

    2025年8月26日(火)~8月31日(日)

  • 会場

    国立文楽劇場

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