11月27日(日)、日本遺産「龍田古道・亀の瀬」の歴史的遺構である旧大阪鉄道亀瀬隧道 トンネル内で、「旧大阪鉄道亀瀬隧道で河内音頭やジャズカルテット演奏を楽しむ会」が開催されました。
亀瀬隧道は、1892年に開通しましたが、1931年に発生した大規模な地すべりで崩壊したと思われていました。しかし、2008年の地すべり対策の工事中、約60mの区間が崩落をまぬがれていたことがわかり、原型をとどめている約45mが、2013年に柏原市の文化財に指定され、その後2020年に日本遺産に認定されました。
今回のイベントはこの隧道内で行われたもの。当日はジャズ演奏、河内音頭の公演がそれぞれ2回ずつ行われ、その前後にボランティアガイドツアーも行われるという充実の内容です。
スタッフに誘導され、参加者たちはトンネル内へ。暗い通路を進んだ先に、今回の会場が用意されています。歴史を感じさせるレンガ造りのトンネル内は幻想的な雰囲気。席に着いた参加者はトンネル内をぐるりと見回してみたり、レンガに触ってみたり、興味津々の様子です。
ライブではまずMCが今回のライブについて、そして「亀の瀬」の歴史などに触れたあと、旧大阪鉄道亀瀬隧道についても、約130年前の建造当時の姿を今に伝える奇跡のトンネルであることなどが説明されました。
ジャズ演奏を行ったのは、大阪の老舗ビッグバンド、アロージャズオーケストラから特別編成されたサックス・宮 哲之、ドラムス・澤 雅一、べース・宮野友巴、ギター・中村たかしによるジャズカルテット「アロージャズスベシャル」の面々。2回目のライブは、シャンソンの名曲『枯葉』からスタート。メンバー紹介のあと、続いては柔らかなサックスが耳に心地いい『ミスティ』へ。トンネル内に響く音色が、なんとも言えない幻想的なムードを作り出します。そしてラストの『オン・ザ・サニ・ーサイド・オブ・ザ・ストリート』では、会場も手拍子で演奏を盛り上げるなど、スペシャルなライブを堪能していました。
河内音頭では、おなじみ河内音頭の継承者、河内家菊水丸が自慢の喉を響かせました。腹に響く和太鼓の祝打がトンネル内の空気を震わせると、菊水丸がステージへ。会場へ「残響してものすごく気持ちよかったでしょう」と話し、「いつもよりも(和太鼓の)ソロが長かった」と笑わせます。そして「いろんなところで歌ってきたが(トンネル内は)初めて」と話すと、早速河内音頭へ。音頭の中で会場の観客に触れ、盛り上げるシーンもありつつ、亀瀬隧道の完成したのと同じころの話である河内十人斬りへと続けます。あっという間に菊水丸の語りに引き込まれていく観客。トンネル内にギター、太鼓の音、そして菊水丸の声が響き、ほかでは味わうことのできないここだけのライブを楽しめました。
ガイドツアーでは、亀の瀬地すべり資料室に展示された大和川流域の写真を見ながら、周辺の土地の歴史、独特の地質、地形などについてガイドスタッフが解説。そして、昭和時代に起きた地すべりについても説明します。対策工事の規模の大きさなどを聞かされた参加者たちは真剣な面持ち。時にはガイドスタッフに質問を投げかけつつ、ツアーは進行します。隧道では入り口が亀のレリーフになっていることなどが説明されたあと、中へ。足元に注意しつつ、見学を行いました。
また、隧道の入口付近のテントでは、龍田古道・亀の瀬のPR商品である亀の甲羅(カメノコーラ)も販売。「亀」と「甲羅」にちなんだ緑色のコーラをご賞味いただきました。