2022年12月から2023年1月にかけ、大阪府内4ヶ所で行われるのが「大阪4大オーケストラ〜冬の音楽会〜」。大阪市、枚方市、吹田市、堺市で開催され、それぞれのテーマに沿った選曲やスペシャルゲストによる歌やおはなしなどで、観客を迎えます。
その第一弾として12月14日(水)、大阪市北区のザ・シンフォニーホールで開かれたのが「大阪フィルハーモニー交響楽団 Enjoy! オーケストラ 〜オーケストラで聴く映画音楽の世界〜」です。名曲が揃う映画音楽を大阪フィルハーモニー交響楽団が演奏。指揮は映画好きとして知られる、大阪フィルハーモニー交響楽団音楽監督の尾高忠明です。シンフォニーホールには映画、音楽のファンを始め、多くの人が来場。検温、消毒を行い、開演を待ちます。
尾高が姿を現すと会場からは拍手が。一曲目はR.シュトラウス作曲の『2001年宇宙の旅』のテーマ。オープニングから荘厳な演奏で会場を包み込みます。1曲目を終え、ぎっしりと埋まった客席を見た尾高は「すごいですね」と笑顔。そして映画監督になれなかったからここにいる、と笑わせます。
続いて、華やかな旅を思い起こさせる「80日間世界一周」より『アラウンド・ザ・ワールド』、「風と共に去りぬ」より『タラのテーマ』、「ピノキオ」より『星に願いを』と、おなじみの楽曲を聴かせてくれます。そこから「心を打つ美しいメロディです」と「エデンの東」のテーマ、オードリー・ヘップバーンの作中での役柄などに触れて「マイ・フェア・レディ」より『踊りあかそう』へ。
続く「サウンド・オブ・ミュージック・セレクション」では、『サウンド・オブ・ミュージック』、『恋の行方は』、『エーデルワイス』、『ありふれたカップル』などの曲がメドレーで演奏されました。映画「サウンド・オブ・ミュージック」について尾高は「こんなにいろんな曲が入っていて、どれもがすばらしい」と絶賛。その言葉通り、バラエティに富んだ楽曲が次々と飛び出しました。
尾高は曲と曲との間に、その作品について、作曲者について、さらに自身の心に残っている映画などについてトーク。ときに笑いを交えながら、会場にたっぷりと映画愛を伝えました。
後半の1曲目は「ティファニーで朝食を」より『ムーン・リバー』。優しい調べがホールに響くと、2曲目の「シェルブールの雨傘」のテーマ、3曲目の「ひまわり」のテーマでは、尾高がストーリーに触れたあと演奏へ。作品をイメージさせる悲しいメロディが会場に響きました。「大脱走」より『大脱走のマーチ』では、南安雄さんとのエピソードも披露。今回の演奏曲の8割を編曲しているのが南さんであることを明かし、尾高が今回ぜひ南さんのアレンジでやりたいと希望したことも語られました。そして「このテーマは忘れられません」と紹介し、「007」より『ジェイムス・ボンドのテーマ』へ。
ここから武満徹作曲の作品である「ホセー・トレス」より 『訓練と休憩の音楽』、「他人の顔」より『ワルツ』と続きます。尾高は、「武満さんの映画、テレビドラマの音楽、これが本当にすばらしい」と話すと、武満さんが音楽を手がけた過去のドラマについても言及。そして「武満さんがすごいのは、監督よりもその作品に精通してから曲を書き出すこと」と力を込めました。
そして、尾高が「今現在、映画音楽で本当にすばらしいのはジョン・ウィリアムズさん」と太鼓判を押す大作曲家の名曲、「スター・ウォーズ」より『メインタイトル』が演奏されます。尾高は「ここまでは僕の選曲、最後に一曲やれと事務局の命令があります」と笑わせると、自身の曽祖父である渋沢栄一さんが主人公だった昨年の大河ドラマ「青天を衝け」のテーマを指揮し、コンサートを締めくくりました。