2月9日（木）から行われていた、大阪文化芸術創出事業 演劇公演「大阪で創る3つのストーリー」。2月24日（金）から26日（日）には、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで劇団そとばこまち「大坂夏の陣」が上演されました。
この「大阪夏の陣」は、大阪を代表する老舗劇団のひとつ、劇団そとばこまちによる新作。「大阪で創る3つのストーリー」の演目であるとともに、劇団そとばこまち45周年記念第一弾 第122回公演の作品でもあります。真田幸村を中心に大坂夏の陣を描いた「ゆきむら」をリメイクし、新たなストーリーを構築。殺陣あり、ダンスあり、和楽器ありの誰もが楽しめる「エンターテインメント時代劇」として上演されました。
大坂夏の陣、最後の決戦へ臨もうとする幸村が、豊臣秀頼に問われ、家康との因縁を語り出します。関ケ原の戦いからの蟄居、父である昌幸が息を引き取る際に残した驚きの言葉、家康の策略、幸村が再び立つまでの軌跡など、真田家の数奇な運命を描きつつ、大坂夏の陣の最終局面、そしてその後は……というストーリー。
舞台上のスクリーンには大写しになったタイトル「大坂夏の陣」。何かが起こりそうな不穏なBGMに続いて、太鼓と笛の音が鳴り始めます。ステージの幕が上がると、3フロアに組まれた舞台で太鼓を打ち鳴らす男たち。会場には笛の音を響かせながら女性が現れます。地鳴りのような太鼓の音に、荒涼とした風を思わせる笛の音が重なり合うと、続いては槍の舞、そして合戦シーンへと、観客は舞台の中へ引き込まれます。
舞台上では次々と時間が進み、さまざまな場所でさまざまな出来事が起こるものの、ストーリーの中へ没入できるよう、時系列や場所がわかりやすく工夫がされています。スピーディな場面転換、迫力満点の殺陣や合戦シーン、さらに歌やダンスと、目まぐるしく展開される演出は2時間を超える舞台とは思えないほど、まったく目を離させません。
シリアスな芝居で引き込んだかと思うと、思いも寄らないところで笑いを挟み込むなど、まさに緩急自在。ゴージャスで華やかなエンディングまで、ダンスあり、音楽ありの舞台は、演劇という表現を追求した新しいエンターテインメントに昇華していました。
ラストは出演者全員で挨拶したあと、ゲストを紹介。会場は大きな拍手に包まれ盛況のうちに閉幕しました。