多くのダンススクールが存在し、アマチュア・プロを問わずダンスが非常に盛んで、多くの世界的人材を輩出してきた大阪。ダンス文化がしっかりと根付いてきたこの大阪を拠点に、世界で活躍するトップダンサーと、次代を担う若手ダンサーが一堂に会した一大ダンスイベント「ULTIMATE JUNCTION」がCOOL JAPAN PARK WWホールを舞台に2日間にわたって開催されました。
89組、約500人のダンサーによるここまで大きなダンスショー公演はとても珍しく、贅沢な2日間となりました。
初日は44チーム、2日目は45チームが魂のこもったダンスを披露しました。
初日、2日目ともにダンスショーケースプログラムは5部構成で、各部8~10のダンスチームが渾身のダンスで観客を魅了していきました。
各部の冒頭に繰り広げられる「CHOREOGRAPHER SHOW CASE」は、コレオグラファー(振付師)による大人数でのチームダンス作品。大人数ならではの大迫力とストーリー性が見ものです。つづいて「SPECIAL SHOW CASE」として、関西で活躍するダンスユニットが様々なジャンル、スタイルのダンスを披露していきます。
各部の後半には日本最大のダンスコンテスト「JAPAN DANCE DELIGHT」のファイナリストたちによるハイセンス、ハイクオリティなダンスが続き、会場は時を経るごとにヒートアップしていきました。
進行MCはTATSUYAとKNITの二人。観客をハイテンションに乗せてくれるTATSUYA、ダンスシーンに造詣の深いKNITによってダンスチームが紹介され、ダンスが披露されていきました。
初日のスタートはコレオグラファーの「NAO and michimi」のチームダンス作品。アラジンの世界にいきなり迷いこんだのかと錯覚してしまうようなアラビアンテイスト。究極のダンスショーケースイベントの幕開けにふさわしい大迫力チームダンスです。
続いてダンスチームのショーケースが次々に披露されていきました。
ストリートダンスの王道、ヒップホップのチームがさらに会場を盛り上げ、フリースタイルジャズダンスのチームはしなやかで表現力豊かなダンスで観客を魅了していきます。ハウスダンスチームは華麗で軽快なステップを披露し、ハイスピードの超絶ステップを見せつけたビバップのチームは観客を驚嘆させます。多彩、多様なジャンルのダンスがこれでもかといわんばかりの怒涛のラッシュ。
こうして、コレオグラファーによる大人数のチームダンス作品、2~10名で構成されたダンスチームによるショーケースが繰り返し会場の盛り上がりとともに進んでいきます。約30名で披露されたロッキン(ロックダンス)のチームダンスは大迫力。一転、コンビで独特の世界観を持ったポッピン(ポップダンス)のダンスユニットが観客のため息を誘えば、アングラ系ヒップホップダンスは会場の空気をまたさらに熱くしていきます。関西が誇る女性ヒップホップダンスユニット「DEBOC」の登場で会場はさらにヒートアップ。のびやかで軽いダンス、アンダーグラウンドを感じさせるイイ感じに力が抜けつつも、確かなダンステクニックで観客を魅了しました。
続けてジャズダンス限定コンテスト「JAZZ SENSATION」準優勝の実績もある「via」が舞台に。会場の空気を一転幻想的な世界に作り変える繊細かつダイナミックなフリースタイルジャズダンスを披露。美しく流れるようなダンステクニックと、ドラマチックな構成に会場からは感動のため息が漏れます。
様々なチームがショーケースを披露していきますが、同じジャンルでも雰囲気が全く違ったり、選曲で独特のセンスを見せつけてくれたりとまったく飽きさせないバリエーションです。なかでも注目の若手ダンスチーム「W☆UNITY」のダンスはまさに圧巻。昨年は「TOKYO DANCE DELIGHT VOL.23」にて優勝するなど絶賛活躍中で、究極のファンキーといっていいハイテンション、ハイセンス、スーパーテクニック、個々人の高い身体能力を見せつけるロッキンチーム。超絶ダンステクニックはもちろんのこと、フォーメーション、選曲、エンターテインメント性、どれをとっても非の打ちどころのないダンスを披露してくれました。
大人数のコレオグラファーショーケースならではのストーリー性を感じさせるフリースタイルダンスが演じられれば、シュールな世界感をもったヒップホップのコンビが登場したり、一転クールで妖艶なワックダンストリオが会場のため息をさそったりと瞬き厳禁のショーケースが連続します。
各チームのコスチュームも必見。クラシックスタイルのチームあり、ラフなスタイルあり、クールでシャープなスタイルあり。
そしてついに初日も最後の一組。個々人の技量の高さはもちろん、メンバー間の信頼とリスペクトまでをも感じさせるチーム力を見せつける「Dog-eat-Dog」。ハイセンスでハイスピードなロックダンスはクリエイティビティがあふれるのにどこかクラシックで、でもやっぱり新しい、40組のダンスチームのトリを務めるにふさわしい、とにかく最高にカッコいいダンスを披露してくれました。
こうして40を超えるチームによる初日のダンスショーは幕を閉じました。
「ULTIMATE JUNCTION」は2日目に突入。
2日目はオリンピック競技に取り入れられて話題になっているブレイキンをフィーチャーした「ULTIMATE BREAK SESSION」がショーケースにラインナップ。オリンピック強化選手を含む関西トップB-boy、B-girl達による究極のセッションが実現しました。
東京スカパラダイスオーケストラの曲に乗って大人数で繰り広げる大迫力ダンスを披露してくれた「SIS」ファミリーによるコレオグラファーショーケースで2日目の幕開けです。
2日目もヒップホップ、フリースタイルジャズ、ロッキン、ポッピン、ワッキンと様々なチームが登場。スタート直後からアガるダンスを怒涛のごとく見せつけられて、観客もすぐさま究極のダンスショーケースイベントに引き込まれて行きます。
超絶ハウスステップテクで勝負してくるハウスダンスチームがあれば、構成に変化を持たせて観客を魅了するロッキンチームあり、とチームのダンスパフォーマンスの表現方法も様々。
重いビートで骨太なダンスでグイグイ見せてくれたヒップホップユニットに、グルーヴィーなハウスステップを見せてくれたハウスダンスユニット、耳なじみのある楽曲を使ってフリージャズにコンテンポラリーの要素も加えたチーム、と、2日目も初日と変わらぬバラエティ豊かなチームが続々と登場し、それぞれ舞台で会心のダンスを披露してくれました。
関西きっての実力派5人組のポッピンチーム「BOOGALOO IN OSAKA」が登場するころには会場の盛り上がりは最高潮。世界最高峰ストリートダンスコンテスト「JAPAN DANCE DELIGHT VOL.26」では準優勝を獲得した実績の通り、BOOGALOOスタイルを得意とするシンプルにカッコいいポップダンスを披露しました。
そして、続いては「ULTIMATE BREAK SESSION」。「MORTAL COMBAT」と「Body Carnival」に「Tsukki」と「DJ SHINSK8」が加わってのブレイキンセッションを見せてくれました。
来年開催のパリオリンピックから正式競技となったブレイキンの日本強化選手でもある「Body Carnival」のTOA、ISSINに「Tsukki」が揃っての豪華な顔合わせも見もので、いつもはライバルでもある2組もそれぞれ場の“音”と“空気”を読みながら、大ワザとワールドクラスのテクニックを次々と見せてくれた時間はまさに至福のひとときでした。
セッションが終わってもショーケースはまだまだ続きます。10人編成のフリースタイルジャズダンスチームが迫力あるダンスを披露すれば、一転、たゆたうような緩やかなダンスのヒップホップ女性デュオが登場したり、楽曲の極太ビートをダンスに見事に反映させる男性4人組が現れたりと、さまざまなスタイルのダンスが続々と披露されていきました。
そして日本におけるワッキンというジャンルの定着の立役者とも言うべき女性デュオ「Rm sister」が登場。ファッショナブルな衣装もあって、しなやかでファンキーなスタイルを得意とする彼女たちの個性が際立ちます。繊細さと大胆さが共存するダンスで、まさに中盤のヤマを作り上げてくれました。
会場に集う観客は、身体能力の高さをいかんなく発揮するチームのダイナミックなダンスに目を奪われ、8人編成のチームがみせるエンターテインメント性の高いフォーメーションに圧倒され、ヴォーグダンスチームがみせるセクシーで妖艶なダンスに虜にされ、男女の物語まで見えてくるジャズ系コンテンポラリーはその世界観に魅了され、ブレイキンには圧巻のテクニックに驚嘆させられました。
クールな出で立ち、ファンキーかつどこか色気のあるダンス、何よりメンバー間の高い結束力からくる唯一無二のチーム力が持ち味のベテランダンスチーム「JAM」はマキシ・プリーストと山下達郎の『BOMBER』で燻し銀のエレガントを醸し出し観客を魅了。いよいよ近づくクライマックスに向けて会場を興奮の渦に巻き込んでいきます。
「ULTIMATE BREAK SESSION」にも登場した「MORTAL COMBAT」が再びパフォーマンス。関西が世界に誇るブレイキングチームである彼らは、世界最大級ストリートダンスコンテスト「JAPAN DANCE DELIGHT」で前人未到の5度の優勝という驚くべき実績を持つ世界的猛者。セッションでも見せてくれたヘッドスピンはじめ、さすが世界を舞台に活躍するワールドクラスの大ワザを惜しみなく見せてくれました。
超ベテランP-KO、バトルやショーコンテストで圧倒的活躍をみせる実力者TAKE-C、HI-SAEの男女3人ロッキンユニットは「LOW FAT MILK.T-PAC」。彼らが満を持してこの2日間にわたる究極ダンスショーケースを締めくくる大トリで登場。ジェームズ・ブラウンの曲をはじめ、ソウルでファンキーなダンスがWWホールをクライマックスへと導きました。
2日目の「ULTIMATE JUNCTION」全45組のダンスが大盛況のもと終演。
2日間にわたってMCを務めてきたTATSUYAとKNITが「コロナ禍で2回中止になったこのイベントが今回無事に開催できてよかった」「こうやって、たくさんの大阪をはじめ関西のストリートダンサーたちがひとつの舞台に立てたことが素晴らしいし、こういう機会を作ってくれた事に感謝です」と締めくくりました。