2022年12月から2023年1月にかけ、大阪府内4ヶ所で行われているのが「大阪4大オーケストラ〜冬の音楽会〜」。大阪市、枚方市、吹田市、堺市で開催され、それぞれのテーマに沿った選曲やスペシャルゲストによる歌やおはなしなどで、観客を迎えます。
12月21日(水)、枚方市総合文化芸術センター 関西医大大ホールで行われたのが、「関西フィルハーモニー管弦楽団 2022フェアウエルコンサートin枚方」。歌手の平原綾香をスペシャルゲストに迎え、指揮を渡辺俊幸、演奏を関西フィルハーモニー管弦楽団が担当しました。
会場アナウンスが行われた後、オーケストラのメンバーが入場。チューニングが始まると会場内の緊張感が高まります。そこに指揮者・渡辺俊幸が登場して全員が起立、会場も拍手で迎えます。1曲目は渡辺のオリジナル『Welcome to Happy Time!』、軽やかなメロディがコンサートの始まりを告げます。曲の途中では渡辺が客席に向かい、拍手を促すシーンも。コンサート冒頭から会場が一体となっていきます。
1曲目が終わると渡辺は「本日はお越しいただき、ありがとうございます」と挨拶。関西フィルハーモニー管弦楽団を紹介するとともに、ゲストに平原綾香を迎えていることを会場へ伝えます。第一部は映画音楽をキーワードにしたものであることを明かすと、続けてディズニー往年の名曲のメドレー『Disney Fantasy Overture』、そして渡辺自身が作編曲家になりたいという思いのきっかけとなった『カーペンターズ・メドレー』へ。
続いては、渡辺が「編曲の面白みを味わっていただこうという曲」と紹介した『もしもモーツァルトがハリウッドの映画音楽家だったら』。渡辺は「いかにもクラシカルなモーツァルトの楽曲が、ハリウッドのスーパーヒーローもののように変わったらおもしろい」と話すと、曲中に使っているヒーロー、ヒロイン、宿敵を思わせるモーツァルトの楽曲についても解説。そして「映画っぽくストーリー仕立てになっているので、それを思い浮かべながら聞いてもらえたら」と演奏がスタート。響いてくる曲は、あちこちにモーツァルトの曲が散りばめられつつ、渡辺の言葉通りのストーリーが目の前に浮かんでくる様な見事な出来栄え。会場は大きな拍手に包まれました。
ここからは作曲家J.ウィリアムズによる、映画「スター・ウォーズ」より 『ダース・ベイダーのテーマ』、『レイア姫のテーマ』、そして『Flying Theme From “E.T.”』の3曲です。渡辺は、「J.ウィリアムズの音楽がベルリン・フィル、ウィーン・フィルでも取り上げられていることがすごい」と話すと、自身が仕事を中断して留学し、作曲家になるきっかけとなったのは、「J.ウィリアムズの映画音楽に感銘を受けたことだった」と話しました。
第2部のスタートは『おひさま~大切なあなたへ』から。イントロが始まると、ドレスに身を包んだ平原綾香がステージに登場し、会場から大きな拍手が起こります。歌い終えた平原は笑顔で会場に手を振り、「みなさん、こんばんは〜!」と挨拶。渡辺は「来ていただいて最高ですよ」と笑顔を見せると、「この曲はNHK連続テレビ小説「おひさま」のメインテーマとして作曲した曲で、元々はインストゥルメンタル(器楽曲)で音域が広かった、でも綾香さんだったら歌えるかもと思った」と話します。そこからドラマや平原の父・平原まことと渡辺の思い出など、レアなエピソードを披露。そしてお互いが「曲を聞いたら、歌を聞いたら、泣けちゃう」、と伝えあうと、会場からは笑いも。2曲目の『CARMEN~Ja t’aime~』を歌い終えた平原は、今デビュー20周年イヤーに突入していることを告げ「舞台に立って歌うことが一番の苦しみであり癒し」と話します。そして、自分の人生をかけて歌っていきたい、歌を通して愛や元気を伝えていきたい、とデビュー曲の『Jupiter』を歌い上げました。
ここからは渡辺の作曲作品を。TVアニメ「宇宙兄弟」メドレー。そしラスト2曲はNHKドラマ「大地の子」より『メインタイトル』、NHK大河ドラマ「利家とまつ」より『タイトルテーマ』を演奏。渡辺が会場に向けて挨拶すると、会場は大きな拍手に包まれました。渡辺が舞台を去ったあとも、拍手が鳴り止まず、渡辺と平原が再びステージへ。関西フィルハーモニー管弦楽団の素晴らしい演奏をバックに平原が『Moon River』を熱唱し、コンサートは幕を下ろしました。