会場には、黒田さん独特の筆致で描かれた絵画226点とオブジェ46点が展示。このうち90点が、今年8~9月にかけて制作された新作といいます。
黒田さんは今回、廃材を使った作品づくりに注力。九州の山中に廃棄されたスクラップや錆びた鉄塊を拾い出し、持ち帰って画材にした作品群が見どころの一つになっています。
このほか、被災地を含む全国各地で行ったライブペインティングの作品や、自らの絵画をアクリルの中に次々と埋め込み、琥珀に閉ざされた化石のようなオブジェも見ものです。
9日は、オープニングイベントとして、黒田さんと桂文枝さん(77)のトークショーが開催されました。古くからの友人で、久しぶりに会ったという2人は満面の笑みで肘タッチし、再開を喜び合いました。
文枝さんは黒田さんの印象について「つかみどころがない。実生活が見えてこない。どこでなにをやっているのか、さっぱりわからない」と指摘。これに対し黒田さんは文枝さんについて「いい意味で気まま。それが魅力」と語りました。
また、文枝さんは、携帯電話を持っていないと明かした黒田さんに「連絡を取りようがない。生きているのかも分からない。だからこの仕事を聞いたとき嬉しくて。生きている黒田さんに会えると思った」と笑いを誘ったうえで、「これくらい持ったらいいのでは」と携帯電話を持つようにアドバイス。これに対し、黒田さんが「感電しそう」と返すと、文枝さんは「え?感電」と大きな声で突っ込んでいました。
また、「今後やりたいこと」を聞かれた文枝さんは「大阪でまだまだ寄席を作りたい。梅田にもつくりたい」と語り、「そこの壁に黒田さんに絵を描いてほしい」と依頼。黒田さんも快諾し、2人の夢になりました。
トークショーのあとの囲み会見が開催されました。黒田さんは「書くのが好きなので、まだ描きたい」と創作意欲を見せると、文枝さんは改めて「劇場を作りたい」と熱く語りました。
また、黒田さんの年齢である81歳にちなみ、「どんな81歳になりたいか」という問いに、文枝さんは「黒田さんみたいな81歳」と答え、「黒田さん以上にもっと気ままに」と話していました。
黒田さんはイラストレーターとして数々の賞を受賞。1998年パラリンピック開会ポスターのほか、北海道の新千歳空港や大阪・ミナミのアメリカ村で巨大壁画も手掛けています。
同展は、2017年から毎年秋に開催されている大阪文化芸術フェスのプログラムとして開催。開場は午前11時から午後6時(最終日は午後4時まで)。毎週月曜日休館。入場料500円(税込み)、高校生以下無料。