会場となったクールジャパンパーク大阪の前には歌舞伎俳優の名前が書かれた幟が立てられ、独特の雰囲気を漂わせます。同ホールでは、新型コロナウイルス感染防止のため、座席は1席間隔とし、最前列は使用しないほか、入場時の検温、マスク着用などの対策がとられました。
初日第1部の開演前には、中村鴈治郎さんの声で、「本日のご来場、誠にありがとうございます。私ども出演者をはじめ、本公演に関わる関係者一同はもちろんのこと、本日ご来場くださいました皆様も今日という日を心待ちにしておられたと存じます。本日ご観劇の皆様がおもろかった!久しぶりの歌舞伎えーわー!また歌舞伎みよう!と思っていただけるよう全身全霊を込めて厳しい残暑も吹き飛ばす舞台を勤めさせていただきます」とアナウンスが流されました。
第1部前半は市川右團次さん、尾上右近さん、市川九團次さんが、盗人と田舎者の一間遅れる掛け合いが楽しい『茶壺』を熱演。後編では、中村鴈治郎さん、中村壱太郎さんが、彫物の名匠、左甚五郎を主人公にした『京人形』」を披露しました。
第2部は片岡愛之助さんのアナウンスの後、中村壱太郎さん、尾上右近さん出演の古風な趣と美しさのある華やかな舞踊の『晒三番叟』と、片岡愛之助さん、中村鴈治郎さん、市川九團次さん出演の恐妻家の夫の浮気がばれたという話をユーモアたっぷりに描いた名作『身替座禅』が上演されました。
第3部は市川右團次さんがアナウンスを担当。その後、市川右團次さん、尾上右近さん、市川右近さん出演の色彩美に富んだ常磐津の舞踊の『戻駕色相肩』と、中村鴈治郎さん、片岡愛之助さん、中村壱太郎さん、市川九團次さん出演の能の「石橋」を素材とした「獅子もの」代表的作品とされる人気の歌舞伎舞踊『連獅子』が上演されました。
また、上演中は、歌舞伎音楽の演奏者や後見が特製マスクを着用しました。
2日目、3日目もそれぞれ3公演、計9公演が行われました。歌舞伎ファンのみならず、初めて歌舞伎をご覧になられる方、また大阪府民だけでなく、府外からも多くの方にご覧いただき、盛況のうちに幕を閉じることができました。
「大阪文化芸術フェス2020」は、この後も、アートや音楽、演芸などのプログラムを実施します。今年も「大阪文化芸術フェス2020」をお楽しみ下さい。