「絵で行けるとこ|黒田征太郎展」黒田征太郎さんとコシノジュンコさんのトークセッション開催

2020年10月9日(金)〜31日(土) ※月曜日を除く

府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)

10月24日(金)、「絵で行けるとこ|黒田征太郎展」が開催されている「大阪府立江之子島芸術創造センターenoco」で、黒田さんとコシノジュンコさんによるスペシャルトークセッションが行われました。

コシノさんと黒田さんは古い知り合いで、デザイナーとアーティストという表現者同士、刺激し合ってきた間柄といいます。黒田さんはトークセッション開始前から、観客と気さくに触れ合い、会場はリラックスした雰囲気に包まれます。時間になると、鮮やかなオレンジ色のジャケットを身にまとったコシノジュンコさんが登場、大きな拍手が起こりました。コシノさんは黒田氏さんに会うということで「これ以上強い色はないという、絵具でもなかなか出せない色」のジャケットを選んだと明かしました。

同い歳で20代以来の再会というお二人。コシノさんは自身のブティックで、作家やアーティストたちと共に語り合ったという当時の思い出話に花を咲かせます。コシノさんは「職種が違ってもなにか通じるものがあって、居心地が良かった」と振り返りました。

コシノさんは80年代初め、東京・渋谷で開催されていた黒田さんの展覧会にふらっと立ち寄り、柱に絵を描いた作品を購入したことを振り返ります。これに対し、黒田さんは、「今日はジュンコさんに差し上げようと、木に鳥の絵を描いてきたんですよ」と廃材の木に鳥の絵が描かれた作品を披露。さらにトークしながら色を足していきます。「その時も柱に黒いカラスの絵を描いていましたよね」とコシノさん。ステージ上で黒田さんから仕上がった作品を受け取ると、「長生きしてよかった!うれしいです。なんでもない木に描いているのがいい!宝にします。大切にします」と喜んでいました。

コシノさんは黒田さんの作品について、「構えて見るというより、何気なくその辺にあるというのがいいですよね」と評し、ステージの後ろの作品を指し、「これ好き。パンチがあるのが好き」と訴えかけました。

コシノさんが指した作品は、10月18日(日)に行われた「黒田征太郎×近藤等則×中村達也 ライブペインティング」で制作されたものです。イベント前日の17日、トランぺッターの近藤さんが急逝するという突然飛び込んできた訃報の中、中村さんとともに全身全霊をかけたパフォーマンスで生み出され、その後も黒田さんが加筆中です。黒田さんが近藤さんとよく語り合っていたという「太陽と地球の関係」をモチーフに描いたという貴重な話も語られました。

黒田さんが「みんなもっと絵を描いたらいいと思います。みんな大人になったら下手だからと描かないけど、絵に下手も上手いもないんです」と話したことに対し、「心があって手が動く、音楽があって手が動くというのはあると思います。人間は五感があって生きているから」とコシノさんも同意しました。

また、コシノさんは、毎年沖縄で行われている「琉球海炎祭」で2010年から手掛けているデザイン花火について、「花火は消える面白さがある。夜空という大きな真っ黒なキャンバスに絵を描くことの楽しさもある。音楽をかけるとデザインができちゃう」と話しました。これに対し、黒田さんは「コシノさんはワクワクやドキドキが子どもの時からずっとあるんでしょうね」と指摘すると、コシノさんは「誰もやったことないことをやりたい」とまだまだ挑戦し続けたいという気持ちを語りました。一方、黒田さんは絵を描く理由について、「自分自身が何者かを知りたい気持ちが強い。それをてっとり早く感じられるのが絵」と話しました。

さらに、2025年に開催される大阪・関西万博や、11月9日(月)に観世能楽堂で開催される能+ファッション『継承する伝統と現代の融合』のお知らせなど、盛りだくさんのトークがありつつ、終盤、コシノさんからも黒田さんにプレゼントが。コロナ自粛中に自宅でうちわ300枚に絵を描いたといい、そのうちのひとつ「日本の心」と描かれた白いうちわが手渡されました。黒田さんは「ありがとうございます!大切にします」とお礼を述べ、最後は「お互いに元気で。どんどんやりましょう!」とエールを送り合って終了となりました。

黒田さんの作品を集めた「絵で行けるとこ~黒田征太郎展~」は10月31日(土)まで、「大阪府立江之子島芸術創造センターenoco」で開催中です。

  • イベント名
    絵で行けるとこ|黒田征太郎展
  • 開催日
    2020年10月9日(金)〜31日(土) ※月曜日を除く
  • 会場
    府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)
TOPへ戻る