落語とオペラの競演! 「大阪オペラ座公演」2019 恋に生きるか、愛に死ぬのか!《日欧艶男合戦記》こっちとあっちええおとこくらべ~光源氏&ドン・ジョヴァンニ~開催

2019年10月31日(木)

いずみホール

10月31日(金)、大阪・いずみホールで行われたのが『大阪オペラ座公演』2019 恋に生きるか、愛に死ぬのか!《日欧艶男合戦記》こっちとあっちええおとこくらべ~光源氏&ドン・ジョヴァンニ~』。このイベントは、落語でストーリーを交えながら、日欧のオペラを楽しめるというレアなもの。桂春団治と大阪オペラ座の若手実力派たちによる光源氏とドン・ジョヴァンニという艶男たちの物語をダイジェストで楽しむことができました。

落語とオペラの競演! 「大阪オペラ座公演」2019 恋に生きるか、愛に死ぬのか!《日欧艶男合戦記》こっちとあっちええおとこくらべ~光源氏&ドン・ジョヴァンニ~開催

第一部は『歌劇 「ドン・ジョヴァンニ」/W.A.モーツァルト作曲〜スペインに実在した驚異の好色漢が、上方落語の笑いのうちに陽気に地獄落ち〜』。ステージにはまず大阪オペラ座アンサンブルのメンバーと指揮者の阪 哲朗氏が登場。そして舞台にしつらえた高座に桂春団治が姿を現すと、会場からは大きな拍手が。春団治は「長年、噺家をやってるけど、出囃子がモーツァルトなのは初めて」と笑わせます。そして今日の舞台が東西の歴史に残る艶男の話であることを説明したあと、ストーリーテラーを務めます。

物語が始まると、ステージ両脇に立てられた電光パネルに日本語、しかも大阪弁の訳詞が映し出される仕掛けになっていることが判明。その訳詞がまたハンパない大阪弁で、「何をさらすねん」「やめときて」から始まって「めちゃくちゃしばきたいわ」「奥歯ガタガタいわしたる」、さらに「脳みそストローで吸うたる」など、オペラとは思えない言葉がどんどん飛び出します。

もちろんステージを見て、歌と演奏を聴いていると、まるきり通常のオペラなのですが、映し出される訳詞を見るとコテコテの大阪弁。そのギャップと訳詞のおもしろさに、笑い出す観客もいるほどです。

春団治は時事ネタのほか、古典落語、名曲からのフレーズを折り込みつつ、ストーリーを進行。ステージでは、周りを巻き込みながら傍若無人に振る舞った稀代の女たらし、ジョヴァンニの転落と破滅の姿を、素晴らしい歌と演奏で見せてくれました。

物語が終わると、出演者がステージに。春団治も含め、主要なキャストが手を取り合い、会場に一礼すると、大きな拍手が鳴り響きました。

休憩のあとの第二部は『歌劇「月の影—源氏物語/尾上和彦作曲〜愛の裏に憎しみが眠り、憎しみの底に愛が潜む。源氏をめぐる女たちの生きる姿〜」です。まず春団治が登場し、不滅のハンサムボーイの心理描写をいかに西洋の楽器で表現するかという見どころ、そして登場人物が多いことなど物語の概要などに触れたあとスタートします。

第一部とは打って変わって、和装に身を包んだ美しい女性たちがステージに並ぶ場面から物語がスタート。それからも和装の男女が光源氏のストーリーを朗々と歌い上げ、ストーリーが進んでいきます。出演者は烏帽子をかぶるなど、いわゆるオペラの出で立ちとはまったく違っているものの、不思議と違和感はありません。観客もすんなり和と洋のコラボレーションを受け入れ、『オペラ 光源氏』の世界へ引き込まれていきます。

春団治が要所でストーリーの注釈などを入れつつ、物語は進行。愛の深さゆえの迷い、思いの強さが生み出す恐れなど、日本の物語らしい湿り気のあるストーリーがオペラで見事に表現されます。途中アリアを披露するシーンなどもありつつ、ジョヴァンニとは違うタイプの艶男である光源氏の世界が会場を魅了。美しい装束と歌、演奏が相まって、新たなオペラの世界を見せてくれました。

ラストは再び出演者がステージへ。全員がそろうと会場からは大きな拍手と歓声が起こります。洋邦の艶男が登場した、見応え抜群のオペラは幕を下ろしました。

  • イベント名
    「大阪オペラ座公演」2019 恋に生きるか、愛に死ぬのか!《日欧艶男合戦記》こっちとあっちええおとこくらべ~光源氏&ドン・ジョヴァンニ~
  • 開催日
    2019年10月31日(木)
  • 会場
    いずみホール
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