開演前のTTホールは今までにないエンターテインメントショーを見ることができるとワクワクしている来場者の興奮が熱気となり渦巻いていました。
オープニングアクトは、ラグビーワールドカップの開会式でもパフォーマンスを披露した「オリエンタリズム」。暗闇の中にスポットライトを浴びて浮かび上がる「オリエンタリズム」のパフォーマー、サカクラカツミのクールなパフォーマンスに会場は張り詰めたような緊張感に包まれます。
次は一気に雰囲気が変わって、桂三扇、林家染左、林家笑丸による「松づくし」。松の扇子がどんどん増えて豪華な松になっていく演芸ですが、最後に「SENSE」の文字で観客を大いに沸かせます。
そして万雷の拍手とともに現れたのは六代目桂文枝。ファッションショーのランウェイの奥に構えられた高座に着く前に、黒い扇子を持ってランウェイをモデルよろしく文枝が歩きます。
高座につくと桂文枝の独壇場。今日の落語は文枝得意の創作落語。病院の出来事を楽しく描写した「病院風景」。 わかりやすくてユーモアあふれる噺に観客の笑いは絶えません。ユニークな動き、そして文枝師匠の、あの声。観客はどんどん桂文枝の世界に引き込まれていきます。 落語は15分ほどでしたが、あっという間に終わったかのような錯覚すら覚えました。
そして再び「オリエンタリズム」の登場。オープニングアクトの時の白い衣装とは対照的な真っ赤な衣装でパフォーマー3人によるプロジェクションマッピングを融合させたハイスピード・ハイテンションなパフォーマンスで観客を再び魅了します。
そしてついに、クールな音楽とともに大阪出身の世界的ファッションデザイナー、コシノジュンコのファッションショーがスタート。
和装がモチーフになった衣装が続々と現れたかと思えば、先鋭的なスタイルのファッションが続きます。
観衆はその美しさ、クールさに息を飲み、センスあふれる音楽にも盛り上げられて、興奮を抑えられない様子。
感嘆のため息や驚きの声がいたるところから聞こえます。
モデル総勢15名以上、衣装は約50着。
ショーの大団円には、コシノジュンコが桂文枝を伴って登場!さらに舞台下席でVIPとして訪れていた吉村洋文大阪府知事をランウェイに招き上げるサプライズも。パフォーマンス、落語、ファッション、多くのエンターテインメントを融合させた一大ショーはこうして幕を閉じました。
ショー終演後にはコシノジュンコ、桂文枝、吉村洋文大阪府知事に対してインタビューが行われました。
ランウェイ上に上がるまでは観客として見ていた吉村府知事は、ショーの感想を問われると、「驚きと感動の連続。ファッションと落語が融合する、こんなことができるのか!とさらに感動」 と興奮冷めやらぬ様子。
コシノジュンコは「ファッションと落語との出会い。桂文枝師匠との出会い。人と人をつなげるという意味ではファッションと落語は近い。本当に面白いコラボレーションができた」と満足感を優しい口調と笑顔で語ります。
桂文枝は、「ファッションも『おしゃれ』、僕らの落語も『シャレ』がある。人を魅了するのはファッションも笑いも同じ。そんな共通点があるファッションと落語が融合して、こんなショーができて、本当に楽しかった。」とこちらも満足感を表現します。
コシノジュンコは続けて、「このショーの題名は”SENSE”。ファッションもセンス、笑いもセンス。そして落語に扇子は欠かせないでしょ。このセンスが接点となって、ショーが盛り上がるといいと思っていた」と胸を張ります。
エンディングで桂文枝が身を包むスーツはコシノジュンコの手によるもの。さらに、落語を演じたときの袴のコシノジュンコの手によるもので、 桂文枝は黒の袴を持っていなかったそうですが、ショーの世界観から黒の袴をコシノジュンコから提供された、という裏話も。
最後に吉村府知事は、この大阪文化芸術フェスについて、「大阪は新しいことをやるには一番の街だと思う。日本しかできないことを、大阪から発信し続けていきたい」と意気込みも語ってくれました。
最後はVIPを交えてTTホールのホワイエでレセプションパーティ。コシノジュンコ、桂文枝、吉村府知事も来場者と交流を楽しみました。
ファッション、落語、パフォーマンス、音楽、演芸、が一気に融合した夢のようなイベントでした。終幕後の観客は興奮と感動を抑えきれないまま、満足感にみちた笑顔で会場を後にしていきました。
『大阪文化芸術フェス2019』は9月16日(月・祝)から、11月17日(日)までの間、府内全域でさまざなまなイベントが開催されています。大阪の伝統芸能はもちろん、大阪の今を彩るファッションや音楽など様々な魅力あふれるプログラムを提供します。「大阪文化芸術フェス2019」をもっともっとお楽しみくださいね。