開場は午後1時30分の予定でしたが、会場前にイベントを楽しみに来られた観客が大勢つめかけました。
開場を15分早めると、あっと言う間に満席に。浄瑠璃と落語を同時に楽しめるとあって、みなさん席についてからも開演をいまかいまかと待ちわびる様子です。
司会は桂小きんが勤めます。観客へやさしく語り掛けて、場の空気も和みます。
いよいよ「能勢の浄瑠璃」の開演です。演目は「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段」。母と娘の情愛を描いた浄瑠璃の傑作です。
女性の太夫と三味線で、繊細ながらも情感豊かに物語が紡がれていきます。登場人物は母のお弓と娘のお鶴。繊細でしなやかな動きは、人形たちにまるで生きているかのような豊かな表情を与えていきます。
「能勢の浄瑠璃」は太棹三味線と太夫の語りによって物語が進行する“素浄瑠璃”といわれる大阪の伝統芸能。1999年には「能勢の浄瑠璃」として国の無形民俗文化財に選ばれました。普段は豊能郡能勢町の「浄るりシアター」で上演されている「能勢人形浄瑠璃」。 今回は「浄るりシアター」を飛び出して、高津神社にやってきました。この「能勢の浄瑠璃」、興味ある方は能勢町の「浄るりシアター」にぜひ足を運んでみてください。
続いては落語。さっきまで浄瑠璃の舞台だったところが高座となりました。演じるは桂三語。桂文枝の17番目の弟子。「傾城阿波の鳴門」と同様、親子のやり取りを題材にした落語「桃太郎」をかけました。
寄席の雰囲気がとってもいい、と上機嫌の三語。大阪のオッサンが面白い、という話で観客に笑いを次々に提供します。
表情豊かに物語を進める三語。途中、携帯電話が鳴るハプニングも、落語にうまく盛り込むところはさすが、です。
浄瑠璃上演と落語であっという間の1時間。観客のみなさんは満足そうに帰って行かれました。来場されていた母娘おふたりのお客様に終演後、声をかけてみましたが、娘さんが古典芸能が好きでお母さんを誘って見に行っているうちにお母さんがすっかりはまってしまい、今回はお母さんから娘さんを誘って来場した、とか。大阪の伝統芸能は、人をとりこにする魅力にあふれています。
「能勢の浄瑠璃」も「上方落語」も大阪が誇る伝統芸能。
こうして多くの方に大阪の伝統芸能に触れていただけるイベントがこれからも「大阪文化芸術フェス」で開催されます。
ぜひこれからのイベントをチェックして足を運んでみてくださいね。