大阪芸術文化FES

2018年9月29日(土)- 11月4日(日)

新世代造形大賞2018

10月14日(日)から28日(日)までの2週間、造形コンペティション「新世代造形大賞2018」の作品が大阪芸術大学スカイキャンパス(あべのハルカス24階)に展示されました。
キャラクターから芸術まで世界に幅広く愛されるフィギュアがテーマです。
「新世代造形大賞2018」は、次世代の造形作家たちを応援しようと、大阪芸術大学キャラクター造形学科フィギュアアーツコースが主催したもので、30歳以下の若手作家を対象としてフィギュアやジオラマ、創作人形などのジャンルで作品を公募し、審査を行いました。

集まった作品は、一般公募や大阪芸術大学、大阪芸術大学短期大学部の生徒などによる107点。審査は10月13日(土)に同会場で、宮脇修一氏(株式会社海洋堂代表取締役)や寒河江弘氏(フィギュア作家)をはじめとした造形界の名だたる著名人の方々に加え、特別ゲストとしてシンゴジラ(2016年)で監督を務めた樋口真嗣氏も参加されて行われました。

作品を2時間ほどかけてじっくり観て話し合われ、金賞・銀賞・銅賞の他、各審査員賞の受賞作品が決定しました。
その後立食形式の受賞イベントで表彰が行われ、受賞者には、後日副賞として金賞5万円、銀賞3万円、銅賞1万円が贈呈されました。

受賞作品と審査員宮脇氏による講評は以下の通り。

金賞「紅魔少女」桑原花菜子さん

「素晴らしいディオラマ。“ディオラマ”という言葉は多くの方が知っておられますが、その実大変難しいものなのです。主役であるフィギュア、そしてそれと共に世界観までも表現するために、いかに上手く空間を捻じ曲げるかが肝になります。また造形だけでなく、まるでスポットライトが当たっているように感じられるペイントなど、表現のレベルも高い作品です」。

銀賞「ソビエトの壁」亀山徳宏さん

「フィギュアとしての高い完成度。審査員の多くから票を集めた、高い造形力を持った正統派立像。一見すると単純に立っている様に見えるポーズも、しっかり見るとそれだけではないデッサン力を感じ取れます。全身に散りばめられたディテールのしっかり入ったガジェットなど、玄人好みの技術力です」。

銅賞「邪龍」山口大稀さん

「まさにコレこそドラゴンフィギュア。ドラゴンというアイテムは巷にいっぱい溢れておりますが、どれも色々といじくられて、生き物としても破綻しているものが多いモチーフでもあります。この作品は「ドラゴンというものはこうである」と誰が見ても納得できるという、実はとても難しい“普通”がしっかりと作られています。また、それに合わせた彩色も良い!」


各賞に的確な評価と称賛が贈られました。

また各審査員賞も発表になりました。

樋口賞「暗澹たる羽音」尾方美月
宮脇賞「COSMONAUT」早田考秀
泉賞「魔女」太田夏海
浅井賞「リビングデッドシスター」園田真弓
大山賞「虹鱗の少女」原子和臣
松本賞「こんこんこん」むなかた
池上賞「悲劇の花嫁」高橋愛実
オオゴシ賞「ハコフグ」篠原美海
寒河江賞「薬剤師」チェ・ヨンジュ
藤田賞「遊具男」加藤勇真
高橋賞「待機」溝内崇大
BOME賞「心優しき魔物の少年」長尾多恵

会期中は、これら受賞作品の他にも、さまざまな手法による独創的な公募作品が展示されました。

また会場内には、株式会社海洋堂による特別展示エリアも併設されました。
海洋堂は1964年に模型店として開業。2000年代に同社が制作したおまけフィギュアが食玩ブームを巻き起こし、その後「エヴァンゲリオン」のフィギュアや2016年公開の特撮映画「シン・ゴジラ」の現代的で新しいフォルムのフィギュア制作も担当するなど、日本屈指のフィギュア制作会社です。
特別展示エリアには、90年代の特撮怪獣映画「平成ガメラ」シリーズの立体ガメラやマスク、エヴァンゲリオンシリーズのフィギュア、樋口監督の実写長編映画「ローレライ」で特撮に使われた潜水艦「伊507」の1/144スケールの原型など、貴重なレプリカの数々が展示されました。
さらに、樋口監督の手で描かれた「タイムスリップグリコ」の食玩の躍動感あふれるラフスケッチと、海洋堂の技術によって小さな食玩サイズに精巧に表現された実物の両方が展示され、来場者は写真に収めるなどして熱心に見比べていました。

また週末には体験教室や講演会などが開かれました。
10月14日(日)に開催された樋口監督の特別講演「映像作品におけるキャラクター造形について」には事前予約で申し込んでいた70名を超える方が聴講に訪れたほか、10月20日(土)21日(日)には「スカイキャンパスねんど会」「学生作品マーケット」が、10月27日(土)オオゴシさんによる「模型製作教室」も行われました。

会場で熱心に鑑賞していた50代男性は、「中学生から海洋堂の工場に通ったり、ガレージキットを購入して趣味で制作してきたファンです。今日は海洋堂の特別展示目当てで来ました」。また、受賞作品や学生の作品については「昔よりも技術が格段に上がっていると感じました。素晴らしかった」と話していました。

ページトップ