大阪芸術文化FES

2018年9月29日(土)- 11月4日(日)

僕は手塚治虫になりたかった。黒田征太郎展

大阪生まれの黒田征太郎さんの作品展「僕は手塚治虫になりたかった。黒田征太郎展」が、10月12日(金)~29日(月)まで心斎橋BIGSTEPで開催。

今年で生誕90周年を迎える漫画家、手塚治虫の世界をオマージュして500点以上もの未発表作品を展示していました。

入り口を抜けると段ボールで丁寧に作られた迷路のような会場が見えました。
まずは黒田征太郎さん手書きのキュートでポップなイントロデュースです。

そしてさらに、段ボールの壁面に写真撮影の許可OKの文字が!

まずは、誰もが知っている手塚漫画「鉄腕アトム」の主人公である少年ロボット、アトムを描いた作品のいくつかに迎えられます。

黒田征太郎さんは手塚治虫さんに憧れ漫画家になられたそうです。手塚治虫さんに出会ったときの衝撃を自身による手書きで紹介していました。
黒田征太郎さんが初めて手塚治虫さんと出会ったのは8歳。空襲によって自宅が全滅。疎開先で終戦を迎えるも父親を亡くし、母親の行商に同行した際に、路上で手塚作品「新宝島」と出会います。以降、さまざまな経験をする中で手塚ワールドがずっと心の拠り所となり、感じたことを作品にし続ける原動力となっていったのです。

とにかくアトムを描いた作品の数々。しかし、ひとつとして同じものがありません。
様々な視点から、様々な素材に様々な手法で、色で、黒田征太郎さんのタッチでアトムを描いています。ちょっとした布切れや紙皿にも描かれており、それが素敵な作品になっていました。
今回展示されている作品は、80歳になる黒田氏がここ5年くらいで書き溜めたものだそうです。そして今も現在進行形でアトムを描き続けています。
子供の頃に感銘を受けた気持ちをそのままに、また新しいアトムを現在も描き続けられています。

作品は反戦を多く表現されています。

白と黒のアトムは、最初に描いてから、その後何度も何度も重ねて描いたものだそうです。
黒は広島を思い、白は長崎を思って描かれた作品です。

さらに絵だけでなく、アクリルの作品もいくつか展示されていました。

黒田征太郎さんは音楽とのコラボレーション、ライブペインティングを度々開催。会場内では2017年下北沢のクラブでドラマーの中村竜也さんと行ったライブペインティングの動画を常時上映され、来場者の目をくぎ付けにしていました。
また訪れた初日10月12日は、19:00からこの会場でドラムの音に合わせたライブペインティングのパフォーマンスを披露していました。

会場内を進み、会場出口近くの窓からちょうど黒田征太郎さんがビルの壁に描いた「PEACE ON EARTH」が見えました。

アメリカ村の象徴として30年以上も親しまれた作品です。

入場者にはもれなくオリジナル缶バッチが1つプレゼント。会場内のガチャガチャで購入もできました。(500円/個)

同じBIGSTEP内の地下2階、黒田征太郎さんの「ギャラリー&アトリエKAKIBA」では、会期期間中11:00~19:00で「黒田征太郎 フクロウ展」も同時開催。どことなくアトムに似たフクロウの作品が展示販売されていました。

最後に、黒田征太郎さんにお話を伺いました。
「絵は本来何かに突き動かされて描くもの。自分をアーティストだとは思っていない。面白いから、描きたいから描いているんです。作品展については、まだ作品が整然と並びすぎている。これからもっとごちゃごちゃと置いていきたい」と、会期中にどんどん進化を遂げていくと、語っていました。

また、11月3日(土・祝)に手塚治虫さん生誕90周年を迎えました。
それに際して、急遽開催が発表された「黒田征太郎×中村達也 ライブペインティング」は、黒田征太郎展イベントの一環としてビッグステップ1階にて入場無料で行われました。
黒田さんの盟友・ドラマーの中村達也さん、そしてシークレットゲストの斉藤和義さんを迎え、音楽とアートの共演が実現!中村さん、斉藤さんの力強い音楽に合わせて時にリズムを刻みつつ、負けないくらいエネルギッシュな筆さばきでキャンバスを彩りました。
往来の方々も思わず足を止め、3人のコラボレーションに見とれる場面も多く見受けられました。

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