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Flügel abend 2018 ~未来へ羽ばたけ、大阪文化力~
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大阪が誇る文化同士を組み合わせ、新たな価値を世の中に発信!
“文化力向上”、“関西・大阪のイメージ向上”、“水都大阪まち育て”を軸に、大阪全体の文化力向上に寄与してきた公益財団法人 関西・大阪21世紀協会。今回、創立35周年記念公演として「Flügel abend 2018 ~未来へ羽ばたけ、大阪文化力~」を開催しました。
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オープニングパフォーマンスは、指揮者 当間修一さん率いる大阪コレギウム・ムジクムによる見事な合唱。一瞬の暗がりと静寂をパッと明るく照らすように宮沢賢治・作詞、千原英喜・作曲の『みさかえはあれ』が抑揚豊かに歌い上げられました。続いて披露されたのは、かの有名な作曲家ベートーヴェンの代表作『交響曲第9番』を当間修一さんがアカペラ用にアレンジしたもの。和と洋、テイストの異なる2曲の魅力が綺麗な歌声となってホール内に響き渡りました。
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第1部開幕にあたり、冒頭では主催者である関西・大阪21世紀協会理事長の堀井良殷さんから創立35周年感謝のことばが述べられ、これまでの取り組みがスライドと共に紹介されました。また、大阪でも台風や地震などの災害が多かった今夏を宮沢賢治の詩にかけて「我々は“雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ”生きていかなければならない。被災された中でも頑張っている人達を褒め称え、応援することが大事だ。」と振り返り、「文化は生まれてくるものではなく自らの手で掴んでいくもの。歴史において残っていくものはやはり文化であり、経済との両輪がこれからの未来を作っていくのです。」と文化芸術への熱い思いを語ると会場は拍手で包まれました。
そして始まったのは室内オペラ『清姫―水の鱗 ~二人の独唱者、混声合唱とピアノのための(台本 佐々木幹郎)より~』。ピアノの旋律に乗せて清姫の恋心と安珍の苦悩をそれぞれのソリスト(独唱者)が表現し、その周りを囲む混声合唱団が緩急のある歌声と変化に富んだ表情、体全部を目一杯に使ってその情景を演出します。やがて燃え盛る炎に巻かれてしまう清姫と安珍。現世で結ばれることのなかった2人が昇天し、死後の世界で愛を確かめ合う様を舞台上で儚くも美しく描いていました。オペラ後は当間修一さんがマイクを握り、ルネサンスから現代までの音楽を網羅する大阪コレギウム・ムジクムの沿革と今後の展望を力強く語りました。
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その後、本公演のためだけに留学中のスイスから一時帰国した関西出身のヴァイオリニスト 周防亮介さんと関西フィルハーモニー管弦楽団がチャイコフスキーの名曲『ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35』より第1楽章を演奏しました。国際コンクールで入賞経歴もある周防さんのヴァイオリンは緻密な音を正確に刻み、首席指揮者である藤岡幸夫さんのタクトに合わせて壮大な音色を奏でるオーケストラと共鳴して聴衆を魅了しました。演奏後、「お世話になった先輩や小さい頃からの先生もいて、とても幸せなひと時でした。ヴァイオリン、音楽の魅力を伝えられる音楽家を目指してこれからも頑張っていきます。」と周防さんは語ってくれました。
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暫しの休憩を挟んでからの第2部のスタートは、ショスタコーヴィチの『バレエ組曲第4番より“スケルツォ”』~金メダルを目指して~。2020年の東京オリンピックをテーマに、地主薫エコール・ド・バレエの子供たちが多種多様なアスリートに扮した格好で各競技ごとの細かな動きをコミカルかつ息の合ったバレエで再現。観客たちはその面白おかしさに時に笑い声をあげながら楽しんでいました。
そしてバレエとオーケストラ、浪曲の3つがコラボレーションして童話『眠れる森の美女』を表現する特別ステージが始まると、場内は一気にメルヘンの世界へと誘われます。曲師の三味線に乗せて春野恵子さんが各シーンを浪曲で語り、そのシーンを関西フィルハーモニー管弦楽団の演奏に合わせて地主薫バレエ団が踊るという新鮮な体験に、思わず前のめりになって見入っている人も。披露されたのは眠り姫であるオーロラの生誕時、オーロラ16歳の誕生日、そして100年後の呪いから解放される3シーン。照明や小道具、衣装にも忠実にこだわった舞台演出とわかりやすい振付は海外の観衆からも感動と称賛を得ていました。物語のフィナーレであるオーロラ姫とデジレ王子の結婚式では、様々な宝石の精や赤ずきんなどのおとぎ話の主人公たちが華やかなダンスで祝宴を彩り、オーロラ姫とデジレ王子がパ・パ・ドゥ(バレエ作品中の最大の見せ場となる男女2人の踊り手によって展開される踊りで、西洋における「愛」を象徴するもの)を披露。終演後は場内から惜しみない拍手喝采が送られました。
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最後のエンディングでは今回の出演者全員が舞台上に上がり、相次ぐ災害からの1日でも早い復興を願って『花は咲く』を大合唱。観客と一体となって手拍子をしたり、口ずさんだりと温かな空間が広がっていました。
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